第85話 神威を倒す配信⑤
さて問題の第二形態だが、避け続けるだけじゃ流石にきつい。
だから何か新たな打開策を見つける必要があるかもしれない。
「さて、どうしよ………」
第一形態も安定してきて、何かを考えながらプレイできるようになった。
ーん~
ー避けるしか無くない?
ー皆避けてるだけ
ーていうかノーダメージがむずいw
ーそれな
ー防御力とHP上げたら?
「いや、クリアはこのままやりたいな」
ここで防御力とHPを上げて勝ってもそこまで達成感がない。
この状態で勝つからこそ意味があるのだ。
「なんか適当に嘘でもいいから案言って。」
ー空間を壊す
ー神威にねばりつく
ー魔法で神威燃やす
ー剣跳ね返す
ー跳ね返す!?w
ー流石に無理w
ーそれ出来たらなんでも出来る。
「剣って跳ね返せんの!?」
ー出来なくはない
ー1フレームの猶予しかないよw
ー実質無理
ー振り落とすくらいなら出来るかも
ーあり
ーやってみよ
「あ~じゃあ牽制して振り落としてみるか。」
さて、問題の第二形態。
強化弾と上下の剣を避けつつ、左右から来た剣を牽制してみた。
「ん?出来るかもしれん」
ー出来てて草
ー出来んの!?
ーそれ安定する?
ーきついなw
ー流石に安定はむずい
ータイミングで決めたら?
「そうだな、使うタイミングを見極めるか。」
とりあえず、なんでもかんでも左右から来たやつを振り落とすのはむずすぎる。
だから、最低限は振り落とし、後は全部避けよう。
「まあ、使うとしたら重力操作のときか」
俺が第二形態で死ぬときの大半は重力操作での移動時だ。
左右から来ていた剣が突如真下から来たものへと変化し、いまだに対応が難しい。
だからここの部分だけでも、克服できれば生存率が凄く上がる。
「例えば、このタイミングとか!」
ちょうど神威の目が光った。
そして重力は右側へと移動する。
その時に右側から飛んできた剣を振り落とすのだ。
ー上手いwwwww
ーうますぎ
ーもしかしてこれあり?
ーえぐww
ーなんで出来るんだよww
ー振り落とすフレームも結構短いよ?
ー6フレームあるかないか
「これでやってみるしかないか」
流石にすぐに安定はしない。
途中、神威から降り始める剣も払い落とそうとした。
けれどすぐには斜めから来た剣に対応できず死んでしまった。
「これ安定するまで耐久だな…」
そうして、第二形態での特訓が始まったのだった。
特訓開始、1時間後…
「斜めは避けた方が早いな」
ー上手すぎて怖い
ーなんでそんな対応できんの?
ー適応力ばけもん
ー第一形態も安定し過ぎw
ー第二形態ももう突破しそう
「あ、行けそう」
案外、安定してきたかもしれない。
少なくとも第二形態の斜めから剣が飛んでくる。
「落ち着け…」
ー落ちついて!
ー落ち着け
ーもちつけ
ーもちは突くなw
ー草
ー行けるぞ…
「よし!通った!!!」
ついに新たな通し方で通過した。
そして、再来する最終戦だった。
「落ち着け………まずは冷静に」
冷静に物事を考えた。
神威の最終戦。特徴は色々とあった。
・攻撃スピードが速い
・移動速度も速い
・自分が攻撃を与えない限り終わらない
・立ち回りが別格
・剣が二本ある。
特に一番重要なのは攻撃を与えないといけないところだ。
おそらく、最終戦も一発与えれば即勝てる。
たぶん装備関係なしにクリアできるように設定してあるからだろう。
「とりあえず耐えながらもう少し様子見だな」
流石にこの状態で勝つのは難しい。
もっと資料を集めないと難易度は高い。
最初は反応しやすいが、後半につれて難易度は格段に上がってくる。
死角からの攻撃も増えてきたり、真正面から素早さ全振りの攻撃もある。
「こっから耐えよ…」
そして、前回やられた剣2本エリアだ。
神威は剣の2段攻撃のタイミングをずらしている。
基本耐えれるのだが、少しでも調子が狂うと影響が出てくる。
「う~ん、どうしようか」
このままじゃずっと戦いが均衡している。
永遠に埒が明かないだろう。
ーまず反応出来るの凄いw
ー普通に見えない
ーなんでいるの分かるの
ーとりあえずもっと色々と模索しないと
ー皆倒し方違うし、回避盾はまずクリア者居ないし
悩み続けながら、ずっと走り続ける。
ふと、今気が付いた。
(ずっと追ってくるな)
さっきから俺は走り続けるのだが、ずっと付いてきている。
ちょっと消えてほしいなと思い、目を合わせるのだが…
「え?逃げない!?」
まさかの神威は消えず、そのまま攻めに来る。
やばすぎる。
このままじゃ追い付かれてしまう。
(いや、ピンチはチャンスだ)
そうよく聞く言葉が脳内をよぎった。
「あ、そういや…」
そう思ってアイテム欄を見る。
すると前回の配信でたまたまゲットしたイベント限定の激レアアイテムがあった。
「行けるかもしれん…」
絶望の中に埋もれていた一筋の光が、また輝きだした。
思い浮かんだ作戦を実行するため、少し距離を取る。
もちろん普通の速さじゃ無理なのでスピードポーションを使う。
「よし、この距離なら…」
「サンダーストーム!」
俺が取得していた数少ない魔法、それがこの技だった。
雷をまとった雲は特殊な条件下で放電する。
そしてその条件下に当てはまるアイテムを持っていた。
それが避雷針だった。
雲が少し輝きだした。
雷の前兆だ。
「よし!行け!!!」
前へ走りながらも、後ろへと避雷針を投げた。
角度を考え、神威のスピードを予測して最適解に投げた。
避雷針は単体じゃ攻撃アイテムにならない。
サンダーストームがあってこそであり、
プレイヤーからしたらコレクションにしかならないアイテムだった。
だが、CPUにとっては違う。
ただの攻撃アイテムでもないアイテムに何も反応はされない。
サンダーストームとの合併技ということに気が付かないのだ。
神威に対しても一緒だった。
神威は何ごともないかのように避雷針にぶつかった。
そしてその瞬間、轟音は後ろで鳴り響き、
クエストは終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます