第62話 ヨット
【前書き】
※ヨットのルールあんまり分かりませんとだけ
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「では、ヨットしていきますか」
『このゲームはサイコロの出た目で役を作るやつだよ』
アクリスがゲームの説明を付け加えてくれた。
正直やったことがないので、もう少し色々知りたい。
「役ってどんなものがあるの?」
『まあ、こんな感じね』
アクリスが画面に一覧表を出してくれる。
フォーダイス、ストレート、フルハウス、ヨット…などいろいろある。
役自体は少ないのだが、他にもいろいろな要素があって面白そうだ。
だが、ターン数は5ターンとあんまり多くない。
『じゃあやっていきましょ!!!!!』
今回はマナとアクリスのペアと戦うらしい。
先手はマナだ。
5つのサイコロを振り、出た目で役を作り点を競う。
何度か抜き取って振り直せるので、賭け要素も大切になっていく。
『よっ!』
マナがサイコロを振り、出したのは5の目3つと2の目2つだった。
『フルハウスだあああ!』
「え、初手からフルハウス!?」
『流石マナなんだぜ!』
ーまあそうなるか
ー豪運なマナに勝てるのか?
ーわかんねえ
ー負けるんじゃね
ーでも賭けゲームだから分かんない…
「す、すごい…」
流石に1発目からフルハウスという役を決めたのはすごいのだろうか。
コメント欄も盛り上がっている。
『次はネスイの番なんだぜ!』
「あ、はい。」
サイコロを振ったが、これといった役にはならず、1期生チームと差が付いた。
次は1期生のターンだ。
『よしよし。アクリスやっちゃえ!!!』
『任せるのだ!』
『いけ!!』
アクリスが出した目は4の目が3つ、あとは1と5が1つずつだ。
『どうしよっか悩むのだ』
そう言って4の目3つだけ抜き通ってもう一回回す。
『来たあああ!ナイスアクリス!!!!!』
まさかの4の目が2つ。
いわば最高配点の役、ヨットだった。
ー早いってw
ーヨットRTAでもやってるんか?
ー流石豪運チーム
ー格が違う
ーこれにどう対応するんだろ。
ーまだまだ始まったばかりだし…
「いや、まじか」
フルハウスの次はヨットか…ちょっとやばいな。
『どうだネスイ!これが1期生だ!!!』
2ターン目にして負けペースが見えてきた。
「すごいな………俺もこのターンに!」
と言って自信よく回すも、全然良い役にはつながらない。
ーネスイはネスイで逆にすごい
ーかわいそ
ーまあ、そんな時もあるか
ー流石に不運すぎる
ーちょっとかわいそうに見えてくる
ーがんばれ………
ー1期生は逆に強すぎだよ
『ネスイちゃん。運がないねええ』
マナは完全に煽り口調だ。
だが、ここで言い返せないのが悔しい。
『マナは言い過ぎだけど、流石にネスイの兄貴も運が弱いのだ。』
そんなアクリスのストレート攻撃に心にダメージを負う。
『さて、マナ。ここで油断せず頑張るのだ』
『任せろ!』
『行け!!』
『えええええええ』
『やったあああああ』
まさかの一発ヨット。
さっき同じ目のヨットが出たから要らないだろうが、それでもすごい確率だ。
ー???
ー同じ目のヨットが2回出る確率ってどんくらい?
ーわからん
ー15万分の1くらい
ーえぐすぎ
ーネスイぎり救われたな
「あ、でも同じ目だから点入らないのか」
『おお~。兄貴はどんどん理解してるのだ。』
『惜しいなあ~。フォーダイス狙うわ』
そしてサイコロを4つ抜き取って、また振り直す。
また同じ目が出た…わけでもなく、しっかりフォーダイスを狙ってきた。
「まじかあ…」
ー流石にやばいな
ーマナえぐい
ー強運すぎる
ーこっから勝てるの…?
ーまあ願えばわんちゃん
「そろそろなんか役をそろえたいところ。」
さっきから狙った通りに役が作られない。
だからここらへんで決めていきたい。
「頼む!!」
『うえ?』
『うおおお。兄貴ここで転機を見せるか?』
ここでようやく役が揃った。
ストレートだから、まあまあと言ったところだろう。
「まあ、こっから切り替えてこ…」
ー悪くない
ーこっからこっから
ーまだ逆転ある
ー頑張って~
ー行ける行ける
『さて、アクリス決めちまえ!!!』
『任せるのだ。』
「ミスれミスれミスれ」
ー草
ー草
ーミスれは草
ー願い過ぎや
ーミスれ~
相手チームはサイコロを回した。
『うーん。微妙なのだ。』
『これはきついね』
頑張ればストレートかフォーダイスか狙えそうだが、少し賭けがひどい気がする。
「よっしゃああ」
『くっそお…とりあえず出来るだけ点を稼ぐか』
『さて、次は兄貴のターンだがぜひともミスってほしいのだ』
「直球だなおい」
ー草
ーアクリスはどっち側なんだよ
ー4ターン目だからここで決めないときついかもな
ー頑張れ!!
ーまだわんちゃんあるのが面白い
ーがんば
ー1期生強い
「まあ、とりあえず…いけ!!!」
サイコロを回す。
すると思ったより強い役が出た。
5が4つ、4が1つのフォーダイスだ。
「よしよし。キタコレ」
『うえええ。ちょっと痛いな』
『やばいのだ。次マナ頑張るのだ。』
『任せて!』
「頼む~勝たせて~」
『え、これ来たんじゃね?』
これといった役ではなかったが、点は結構加算されている。
え、これ逆転きつくね?
『これはほぼマナの勝ちなのだ』
「え、もう負け確定?」
『一応1つだけ引き分けにするやり方がある』
ーほぼ負け
ー7776分の1でわんちゃん
ーじゃあ無理か
ーいや、彼ならやってくる
ー祈れ祈れ
「どうやったら?」
『6のヨットで』
「は、無理じゃん」
流石に何が何でも無茶ぶりだわ。
もうほぼ負けたようなもの。
良くても引き分けなのが、彼女の実力を感じられる。
『まあまあ、兄貴ならやってくれるさ』
『アクリスはどっち側だよおおお』
「頑張ります………」
ほぼ絶望を味わいつつ、サイコロを振る。
「お?」
『え?』
『おっと?』
出たのは6の目3つ、1と2の目が1つずつだった。
ーお?
ーいけるぞ!
ーまじでわんちゃんある!!!
ー奇跡を起こせ!!
ーそこら辺の大会より激熱展開
ーもうこれヨットしたら勝ったようなものだろ。
ーそれ
「がちであるぞ………落ち着け」
とりあえず冷静に5の目3つを抜き取る。
『まあ、まだ36分の1だから』
『それはまあそうなのだ。』
「ここで魅せるのが実況者だろ!!」
そう言ってサイコロを振った。
「よし!!!!」
『アクリスやばい………』
『まあ、まだ6分の1を引かなければならないのだ』
「まじで行ける…神頼み神頼み」
まあ、正直そこまで全力でするゲームでもないのだが、勝ちたくなるのが人間の性だ。
ゲームなんて何ごとも全力で楽しんだ方が良いに決まってる。
「頼む、いけええええ」
「よっしゃああああああああ」
『は、はあ?』
『兄貴、えぐいのだ』
ー怖い怖い
ーなんでここで引ける?
ーこれは乱数調整やってる
ー才能過ぎる
ー運に才能はないと思ってたけどあるんだな
ーマナ達が勝てなかったの珍しいよな
ー最後にこの状況があったのはたぶん半年前かもな
『ど、同点…』
『さ、流石なのだ』
「まじでうれしい!!!」
ここで6のヨットを出した俺は、引き分けにもつれこませれた。
運が味方してくれてよかった。
「さて、では次何やるか」
『絶対勝つまで終われねええ』
『おっと、耐久するのだ?』
『するわあ!!!』
こうしてネスイに勝つまで終われない耐久配信が始まった。
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