第53話 結果発表
『では結果発表です。top60から順番に見ていきましょう』
いつの間にか配信の司会はルナさんに表示されていた。
まあ、そんなこ
とは今はどうでもいい。
いよいよ結果発表だ。
最後の方にキルをめちゃくちゃしたがそれでも足りるか分からない。
「頼む~」
俺は画面の前で手を合わせてお祈りだ。
俺の配信では、ずっとゲームのロビーだ。
ほぼ全員が今司会者の配信に注目しているだろう。
『では、top5。一気に見ていきましょう!』
まさかの一気に見る方式だった。
そしてそのまま順位が開示される。
第4回HESKAL杯総合順位
1白海ネスイ
2風山氷
3プリーム・アラモート
4春陽のゲーム部屋
5清城 ひな
「やったああ1位だあああああ」
ーおめ!!!
ー1位すげええ
ーこれでもまだ半年
ー無双だなあ
ーおめでと!!!!
とりあえず目標にしていた1位が取れた。
途中危なかったところもあったけれど、反省点とかをまとめて次に活かせて良かった。
ちなみに2位の氷さんとは6ポイント差と結構ギリギリだった。
話を聞くに、どうやら氷さんはほぼ毎マッチtop3に居たらしい。
そしてキルも結構取っていたようだ。
やっぱり6マッチ目の戦いで1位になれなかったらきつかっただろう。
「よかった。まじで」
そして次にインタビューへと移る。
中間発表の時は下からだったが、今回は上からtop5らしい。
つまりトップバッターだ。
「じゃあちょっとインタビュー行ってくるわ」
俺は自分の配信のマイクを切って、インタビューに参戦した。
『さて、では1位になった白海ネスイさんにインタビューをしますか』
『1位になった感想は?ネスイちゃん』
ルナさんが質問するかと思ったらまさかのマナさんだった。
俺は慌てずに言う。
「最高です!新参者が1位まで上がれてうれしい限りです。」
『なる!じゃあ最後の試合について何かある?』
もはやマナさんのマイペースさに誰も注意してくれない。
ルナさんも無言だ。
「えっと。最後戦った方が氷さんと聞いたとき、納得したくらいには上手かったです。
特に最初どこに居るか分からなくてピンチになったんですけど、
そっからあきらめずに頑張ったことで逆転できてよかったです。」
『ちなみに、ネスイさんなんですけど、なんと世界記録更新でございます!!』
「はぇ?」
俺は頭が真っ白だ。
コメント欄でおめでとうとか口々に言われているのはうれしいが内容は入ってこない。
「ど、どゆこと?」
『ネスイちゃんが、1位時点のキル数世界記録更新したんだよ!』
「えええええええええええ」
初耳だった。
ていうか世界記録知らなかったし。
「ま、まじか」
全然困惑を抑えきれないと、頭が混乱している中で二人が追い打ちをかけに来た。
『そしてもう一つおめでたいことが!』
『100万人おめでとうございます!!!』
「は?」
流石に何かのドッキリだろと思いつつ、自分のチャンネルを確認しに行く。
《登録者数 100.1万人》
「えええええええええ」
『気が付いてなかったんですね笑』
ルナさんに少し笑われてしまった。
『おめでたいね!ネスイちゃん!今度コラボ忘れないでね』
「げっ」
大会のせいで忘れてた。
ていうかもう100万人とか結構早くないか?
いつの間にかblancの登録者数も抜いてるし。
『ネスイちゃん。私の100万人登録スピードよりダントツに早いね』
『HESKALでは1番早いですね』
「は、はあ」
次から次へと情報量が多すぎる。
とりあえず喜んどけば良いか。
『では、ネスイさん!ありがとうございました。』
「ありがとうございました!」
こうして、一応インタビューは終わった。
すぐに配信のマイクミュートを解除にする。
「えっと。いったんまとめよ」
配信画面に白い画面を写す。
「まずはHESKAL杯優勝」
そうして俺は紙にそう書く。
「そして次に世界記録樹立」
続けて書く。
「最後に100万人登録者達成」
ーうんそうだね
ー合ってる
ー合ってるけどあってない
ー早くね
ー早すぎる
「えっとね……情報量多いわ」
とりあえず何から喜べばいいか分からん。
まあ全部喜んでいいのだろうがまだ頭の理解は追い付いていなかった。
「と、とりあえず明日も枠立てるわ。全部祝おうぜ」
ーそれだね
ーいいね
ー祭りだああ
ーコラボとかも決める感じ?
ー電凸ありだな
ー最近やったなww
ー80万人登録者数だっけ
ー20万増えたの!?
ーえぐい
「まあ、そこで色々決めるわ。じゃ」
ーまあそういうことでいっか
ーおつねす~
ーお疲れ様
ーゆっくり休んでね
ーおつ~
しっかり配信を切ったのを確認すると、俺は部屋から出てリビングのソファにもたれた。
まだ昼過ぎだが、もう1週間ぶりくらいの疲労が来た。
昼ごはんどうしようか考えていたら、家のドアが開いた。
「あああああああ」
彼女の第一声は叫び声だった。
「お疲れ様」
俺は少し姿勢を正して彼女を見上げる。
「海斗1位おめでと……まさかそんなに強いとは」
「あれ戦ったっけ」
「うん!負けたよ!!」
ちょっと怒り気味にそう言って横に座った。
「疲れたね…」
「そうだな」
俺も夜音も疲労でいっぱいだった。
「あ、そういや100万人行ったんだよね」
このテンションのまま俺は彼女に伝えた。
軽く受け流してくれればよかったのだが、そうはいかなかった。
「は?」
彼女はもはや疲労が無くなったかのようにすぐに身体を起こした。
俺は起こす気力すら残ってない。
「マジで言ってんの?」
「うん」
「がちで?」
「そうだよ」
「やばあ…早すぎる」
彼女はそうしてまたソファにもたれる。
「昼ごはんどうする?」
「今から作ってくれるの?」
「無理」
「食べに行くかあ」
彼女はそう言って、バッグを取りに戻った。
とことん決断が早いやつだ。
俺はちょっと笑みがこぼれつつも、行く用意をする。
(明日は色々お祝い配信か)
しんどそうだなと思いつつ、部屋のドアを閉めた。
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