2章 開幕!HESKAL杯
第33話 HESKAL杯に向けて①
「何それ」
配信でたまに目にすることはあった。
だが、実際どういうものか分かっていたわけではなかった。
「HESKAL内のゲーム大会よ!」
そう夜音ははしゃいでいる感があふれ出ていた。
ゲーム内容は、HESKALで一番実況者が多い【end world】だ。
fps界隈でも最近人気ゲームだ。
ちなみに夜音が寝ている間に俺がやった、言わばVTuberになった原因のゲームでもある。
「じゃあ、なんでコントローラー持ってるんだ?」
このゲームはpcが一番スペックがいいとされている。
そんな中自宅用ゲーム機を握っていた彼女に俺は疑問がわいた。
「私は縛りプレイだよ」
そう言って説明をし始めた。
要約すると前大会top3に入っていたVTuberは、pcでやるのが禁止らしい。
第二回大会からそうして続けられてきたようだ。
まあ、上手い人が縛りプレイするのは面白いと思う。
「そうなのか、やっぱり春陽も縛りなのか?」
「そうだね。前回2位だったから」
どうやらあの実力で2位らしい。
1位は相当な実力者だろう。
「1位の人は3連続1位だからねえ…」
俺は驚いた。
3連続ということは、縛りのなかで1位になっているということだ。
普通に化け物だろう…。
まあ、PADといわゆる手持ちコントローラーも強いので希望はあるのかもしれないが。。。
「で、今からそのゲームをするのは分かった」
夜音がコントローラーを握っている時点でそれは確定だ。
だが気になることは別にある。
「なんで俺の家居るの」
もちろんだが、彼女の家には家具がちゃんと一式そろっている。
なんなら使ってもいる。
「そりゃこっちでやるからだよ」
まあ、知ってた。
最近こっちに来る頻度が増えていたので、
今回も俺の家のテレビ使うのだろう。
よく見るとすでにテレビに機械をつなげていた。
ちなみになんでこっちに来る頻度が上がったのか不思議ではある。
が、何か聞かない方がいい雰囲気が感じ取れたので黙っておく。
「海斗は部屋のpcつけてきて、一緒にやるよ」
そう言って、テレビの画面を付けた。
俺は苦笑いしつつ、彼女に付き合った。
――――――――――――――――――――――――
俺はとりあえずpcを起動する。
隣の部屋にいるとはいえ、部屋の壁が防音室ということもあり何も聞こえない。
だから、ボイチャは繋ぐ。
『さて、やりますか~』
俺のテレビを使っていることに関しては気にもせず、やる気満々のようだ。
とりあえず、夜音の実力がどれくらいなのか分からないし
どんなゲームなのかもわからない。
「このゲームは何をしたらいいんだ?」
夜音のやつで触ったとはいえ、やり方が分かっているはずもなかった。
『武器落ちてるから拾ったりしてマッチ1位になる』
だけらしい。
おそらく部分ごとに端折っているんだろうが、まあよくあるfpsなんだろう。
よくあるfpsゲームのキャラのアビリティとかを駆使して戦うわけではなく、
このゲームはエイムと立ち回りの勝負だ。
いわば運もそうだが、相性というものよりかは実力よりなんだろう。
運営もしっかりしている。
だからこそ人気があるfpsなんだ改めて実感する。
『とりあえずあそこの敵やりにいこ』
なんとなく武器を集めたところで、彼女がそう言った。
俺も漁るものがなくなってきたので付いていく。
まだ操作方法が慣れていないので挙動不審な俺に対して、
彼女は機敏で、本物のプロという感じがした。
『そこ行けるかも』
彼女のピンを刺した方向に俺が向かう。
いわば夜音の言いなりという感じがする。
実際そうするしかないので仕方ない。
俺はショットガンを持っていたので、近距離戦に持ち込む。
「やるわ」
木の裏に隠れているであろう敵にダッシュで近づいて撃つ。
ヘッドショットという、ダメージが大きくなる部分を狙うと
しっかりと弾のダメージ量が増加した。
そして相手はワンパンで倒れた。
『ナイス!』
相手はダウン状態で少しずつ動いていた。
さっきの夜音の説明の一つで、
倒された時味方が片方生きていたらダウン状態になると言っていたがこのことだろう。
つまりどこかにもう一人居るのだろう。
『あの崖上いるかも!』
近くにあった物影に隠れて様子をうかがった。
すると、何か動いているのが見える。
「スナイパーあるよ。」
そう言って俺はショットガンからスナイパーに切り替えた。
武器は二つしか持てないので考えといけない。
俺は結果的に近距離か遠距離かという考えに至った。
『抜けるかな…』
夜音は結構心配しつつ相手の様子をうかがっていた。
いつでもカバーに入れるようにするためだろうか。
だが、俺は仮でもプロゲーマーだった男だ。
感度や設定、ゲーム性は違えど、完全に初心者というわけではない。
そして、スナイパーは反動を気にする心配もなかった。
つまりは一点勝負。
「任せろ」
俺はキーボード音を少し鳴らした。
画面にはkill表示が出て、相手はもうとっくに消えていた。
『つっよ…』
夜音は驚いていたものの、そのまま物資を漁りに飛び出していった。
俺も飛び出そうと思い、周りを見てそして一つ見つけた。
崖の上に少し立ち止まった障害物にも見えないものがあった。
俺が敵と認識したときには遅かった。
そしてそのまま彼女はスナイパーに抜かれた。
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【後書き】
2章開始です!引き続きよろしくお願いします!
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