2つ目の月

@TyaUkE

門真大社商店街二十八丁目2235番地コーポレートビル３階６号室

無限に続くアーケードに梅雨の雨が音を立ててはねる

毛細血管のように枝分かれを続ける商店街を辿って、不気味に泡立つ用水路と並走する古びたビルの門を開け階段を上る

周りの喧騒を階下に置き去りリノリウムが反射する電球の光を踏んで廊下の

突き当たり、そこが私の家だ

ドアの真鍮のプレートには蝶のレリーフの横に303号白波と記載してある

私は毎日家に帰りつく度このプレートを確認する、なぜかは分からない

ただプレートにこの名前が刻まれている限り、私が私であるような気がするのだ

私は白波

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