第9話心を読む機械1
ある日の夜。
――バンッ
「攻一さん聞いてください」
部屋でくつろいでいると鏡花が飛び込んできた。
「鏡花さんノックという概念はご存知?」
「それどころじゃないんですよ攻一さん」
若干興奮した様子で迫ってくる鏡花。
「どしたん?」
「父の会社がすごい物を発明しました」
「どんなん?」
「心の声がラインで送信されてくる装置です」
「いや怖いわ」
――バンッ
「心の声がラインで送信されてくる装置って本当?!」
なぜか俺の部屋のタンスの開き戸から出てくるリリー。
「そんで何で俺のパンツを頭に被ってんの?」
すかさず奪い取る。
「ああ! 私のパンツ!」
いや俺のパンツ。
――バンッ
「話は聞かせてもらった」
なぜか俺の部屋のトイレから出てくる朔夜。
「いや何やっとるん」
「ご主人様あるところ常に我あり」
変態って普通に登場できないの?
「攻一さん、とりあえず私が試しで付けますので見ててください」
件の装置なのだろう腕輪をはめながら鏡花が言う。
普段の落ち着き振りと比べて、期待と興奮の入り混じったその様子はさながら子供のようだ。
――ブブッ
スマホに通知が来た。
お、きたのか?
『攻一さんの隠し撮りすごく興奮します』
「鏡花正座」
「いや違うんですよ」
正座しながら鏡花は言う。
気品すら感じる所作と姿勢なので行動とのギャップがすごい。
「ただ私の愛を伝えたかったんですよ」
送られてきた愛が重すぎるわ。
「次! 次私に試させて!」
リリーが手を上げて腕輪を受け取る。
「よし! これでOKね!」
腕輪を付けて満足そうな表情のリリー。
――ブブッ
早速スマホに通知が来た。
『頭のパンツは取られたけど履いてる方の攻一のパンツはバレてないようね』
「なんで率先して腕輪付けたん?」
リリーに正座させた。
「違うの、私はただ……」
「ただ?」
「攻一のパンツだったら攻一がはぎ取ってくれるかなって」
頬を染めながら言う。
「鏡花、正座やめていいからメイドさん呼んで」
「ヤダーーーー! ヤメテーーーー!」
悲鳴を上げるリリー。
「攻一、次は私が付けてみよう」
「いやいいです」
朔夜が何か言ったけど断った。
「ンンッ♡」
悶絶する朔夜。
そして勝手に正座を始めた。
「攻一さん私達三人が明日これを付けて学校生活を送りますので攻一さんはメッセージを受け取る役をお願いしていいですか?」
「テスターをやるって事か?」
「はい、父に頼まれましたので」
「まぁ……いいか」
そこまで大変でもないだろうし。
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