第3話九条朔夜Ⅰ 2
「下校途中の道で父さんから電話があってな。会社が倒産した、と」
ダジャレ? いや真面目な話だよね。
「多額の負債が発生してね。途方に暮れるとはあの時の事を言うんだろう」
良かった真面目な話だ。
「その時の話を聞かれたのか、呆然としている私に君が話しかけてきた」
覚えてない。俺何したっけ?
「これあげるって10億以上入った通帳を私に」
すごい事やってたわ。
そういや確か、偶然出会ったイケメンのショウさんが株でやらかしたって言うから、二人で頑張って取り返したけどショウさん妻子持ちだったって事があったな。
文庫本にしたら2冊分くらいのドラマがあったんだけどそれはまぁ今はいいか。
で、金が余ってもうどうでも良かったから困ってた誰かにあげたんだった。
「あれ以来、君の事が忘れられない」
「いやー・・・でも俺会長に興味ないんで」
「んんっ♡」
「ん?」
「ん?」
「いや・・・あー言葉が悪かったですね。すいません自分同性愛者なんですよ」
「何? そうか・・・解るよ。君の眼は嘘を言っていない」
「あの・・・そういう訳なんで」
「待ってくれ。君の言いたいことわかった。なら恋人でなくていい」
「え?」
「雌犬でいい」
「いきなりぶっこんで来た」
「雌豚でもいい」
「一般人の俺には違いがちょっと」
「毎日、私にいやらしい命令だってできる」
「そこらへんで止まってもらっていいです?」
「毎日・・・そう君は耳元で私にだけ聞こえるよう罵声を浴びせるんだ」
「落ち着いてください」
「くっ私を脅して言う事を聞かせる・・・そうだろう!」
「落ち着いてください」
「例えば・・・そう! 緊縛して脅迫するんだ!」
「落ち着いてください」
「なんて恐ろしい! 縄ならここにある!」
「自分で用意しおった」
ハァハァと興奮している様子の会長。
「会長ドMなんですね」
「ありがとうございます」
「御礼言われるような事言ってないですね」
「敬語は使わなくて構わない、名前も朔夜と呼んでくれないか」
「いやちょっと遠慮――」
「朔豚でも構わない」
「朔夜って呼ぶわ」
――ガラッ
「話は聞かせていただきました」
「鏡花さん、何でここにいるん?」
「攻一さんの服には盗聴器と発信機が内蔵されています」
「ストーカー怖い」
「朔夜さん良ろしければ私の屋敷に住みませんか?」
「・・・どういう事だ?」
「私も攻一さんを愛しています。そして攻一さんを屋敷に住まわせる所まではこぎつけました」
言い方。
「しかし攻一さんは同性愛者」
「ああ」
「なら、魅力的な女性複数人で迫り無理矢理異性愛者に変えようと」
「なるほど!」
「マッドサイエンティストの考え方だよそれ?」
しかもそういう作戦会議って本人の目の前でやっていいの?
「是非もない。私も住まわせてくれ」
「ありがとうございます」
「いや・・・ちょっと・・・」
居候に近い身だから俺は何も言えないけどさ。
「あ! じゃあイケメンも追加で住まわせない?」
「朔夜さん何かご希望とかありますか?」
「そうだな・・・」
「俺イケメン!」
「特には無いよ、ありがとう」
「いえ」
微笑む鏡花。
無視される俺。
結果、同居する変態が増えました。
追記
「あ、攻一さん、私もこの学校に転校することになりました」
「え?」
「同じクラスにしておきました」
「えっ?」
鏡花が転校、同じクラスになりました。
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