第2話九条朔夜Ⅰ 1
キーンコーンカーンコーン
昼休みを告げるチャイムの音が鳴り響く。
教室から少しずつ生徒が出てきてあっという間に廊下には生徒の波ができた。
この学校には食堂があり、そこで食べるかもしくは購買なんかで買ってきたパンか弁当を教室で食べるのが常となっていた。
俺も他の生徒と同じように廊下を歩く。
「攻一ー今日は何を食うー?」
俺の横を歩くイケがのんびりとした口調で言った。
「んー・・・カレーかな」
答えつつイケをチラと横目で見る。
――池面太郎。
名は体を表すとはよく言ったもので、非常に整った容姿をしている。
性格はのんびりとしていて、笑った時の笑顔はもはや癒し。
野球部のエースらしいが・・・。
「イケ、筋トレの成果が出てきてるんじゃないか? 体、締まってきてるじゃん」
そういってお尻をパーンと叩く。
「おーい、やめろよー。それにそこは鍛えてないってー」
朗らかに笑いながら言う。
はぁー尊い。
こういう時は同性愛者最高だよな。
異性だったらもはや通報だが、同性だから何の問題も無いもんな!
フヘヘ。
と、そこへ――
『2―1の佐藤攻一君、佐藤攻一君。すぐに生徒会室まで来てください。繰り返します――』
水を差す校内放送。
「えー攻一なんかやったー?」
「いや・・・覚えがないけど」
うーん何かあったといえば鏡花(ルビストーカー)襲来くらいだけどさすがに無関係だろう。
俺はイケと別れ生徒会室に向かう。
しかし・・・イケとの昼食を邪魔するとは・・・。
これでしょうもない用事だったら学校燃やす。
※ ※ ※
コンコン。
生徒会室の扉をノックする。
「入ってくれ」
「失礼しまーす」
生徒会室の扉を開けて中に入ると、そこには生徒会長こと九条朔夜がいた。
長い髪をポニーテールにまとめ、凛とした雰囲気が感じられる。
どちらかというとカッコイイと言われる方で女生徒から多大な人気がある・・・らしい。
そして凹凸の激しいスタイルをしており、男子生徒から多大な人気がある・・・らしい。
「昼休みの途中にすまないね」
「あーいえいえ」
生徒会室には縦に長机が置かれ、奥には生徒会長用なのか大きな机があった。
九条生徒会長はその大きな机にある椅子に座りこちらに笑いかけている。
「えーっと・・・それでなんで俺呼ばれたんですか?」
「ああ・・・うん。まぁまずは座ってくれ」
長机と一緒に置かれているパイプ椅子を勧められ、そこに座る。
九条生徒会長も俺の正面の椅子に座った。
「そうだな・・・単刀直入に言おうか」
「何でしょう」
「今日は先日の礼と、そして私と交際してほしいという事を伝えたかったんだ」
「交際というと、彼氏彼女のアレでしょうか?」
「そうだ」
「お断りします」
「んっ♡」
「ん?」
「うん? どうした?」
「いえ・・・なんでも。それで礼というのは? 覚えがないんですが」
「まさか・・・本気で言ってるのか?」
「はぁ・・・まぁ」
「そうか・・・いや、すごいな君は」
感嘆した様子で俺の方を見る会長。
何かやったっけ?
「ほんの数日前の事だ」
そして会長は事の顛末を語ってくれた。
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