十一章α:触れられない牢獄

 影狼、殺すなよ。殺したら…わかっているな。 

もちろんだとも。 

あんなに可愛いうえに回復魔法を持っている。貴重な娘だ。是非とも俺の嫁にしてやる。やってこい。 

仰せのままに。

 「グワオオオオオオオォォォン」

よしあの娘だ。小さい方は死んでも構わない。あの娘だけは殺すな。生かして捕らえろ。

 「グワオオオオオオオォォォォォン」

 なななななななにあの大きさ…あんなんじゃ体の重さに耐えられないはずなのに…跳ん…いや、飛んだ⁉︎こっちに来る⁉︎

 「ピチョ、やるのか、逃げるか?早く決めろ!どっちにしろ死ぬ確率は…高いがな。」なにその無理ゲー。でも決断するしかない。「退避‼︎退避‼︎」そう言ったとたんに、私はリネロに抱えられ、行くぞ、というが先か、リネロは走り出した。秒速100mという脅威の速度で走ったリネロだが、それでも遅かった。

 「影の狼獄」

 無詠唱魔法⁉︎しかも「触れられない…」

 「よく気づいたな。そうだ。その檻には実体が無い。影には触れられないだろう。それと同じだ。」

 つまり…

 そうだ。俺を倒さない限りはこの檻は消えない。最も、この中から攻撃出来たらだが

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