第30話ここはブラジル・マフィアの一員
レビンに騙されたと知った時はアヘンから精製されたヘロインを更に精製して出来たモルヒネを使って被弾したクコの実のメンバーのボディに食い込んだ銃の弾を抉り取っていた。
気づいた時には、メンバーに無くては為らない立場だった。
善と悪の葛藤は朝目覚めてから疲れ果てて自然と眠りに就くまで八代の心は穏やかでは無かった・・・。
リオデジャネイロには光と闇の世界が有る。
コンコンコン!
「ナオミ師長! 相談が有ります。」
八代とナオミの夜半はいつもこんな調子で、夜明けまで続いていた。
「それはね、貴女が純粋に仕事に取り組んでいる証拠よ?」
「貴方は手抜きをしない、メンバーにだって平気で叱咤激励するし、でも皆は貴女のいう事に頷いているわよ?それは貴女が本気だからよ?」
私も昔はそうだった。
夫のリオ・デ・サヴィンに良い様に扱われて、いつしかメンバーの中心人物に為っていた・・・。
結局リオは前ボスのザーボン・ヤ・ザッキーミを裏切り新しいボスの位置に就いた。
「てめえ! 裏切る気かリオ!」ボスが叫んだ刹那、パンパーン!
銃声が轟き、ナオミが右肩を抑えて倒れた!
と、同時にナオミがメスを手裏剣の様に下手投げでザーボン・ヤ・ザッキーミをボスの銃口から庇い身を持って盾となった!
「ナオミ! 今日からオマエは新ボスの妻でナンバーツーだ!」
リオを庇いナオミから投げられた鋭いメスの刃先がザーボンの頸椎に深く刺さり、情静脈をスパッと、分断されていた為、ザーボンはあっけなく他界していた・・・。
結局ナースは背中に(愛)という名の処方薬を背負っていて、愛を持って患者を治療する。
怪我を治すと言えばおこがましい、愛を持って命を助ける!
時には身体を投げ出し、愛する人の為に必要とあらば、日本で違法の麻酔を用いる。
ここは、ブラジル・・・。
机上の選択なんてやってられない!
命の凌
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