7月24日(月):初活動はフライングから

コンクリートに鉄扉。点けても暗い蛍光灯。

動くは動くがほとんど意味を為していない冷暖房。

メタとアテムの活動する設定ぶちまけ隊は、上のような隊室を有する。


「おはようございまーす…って、隊長珍しくいないな」

普段なら放課後恐ろしく早い時間帯から隊室に居座っているメタが、陰すら見当たらない。

集合を10時にしていたものの、余るほどの期待に9時到着してしまったアテムはさすがに早すぎたか、と零して荷物を降ろした。


肩に角材を吊るすような重さの学校鞄が平時のマイバッグなので、必要最低限のみを詰めたハンドバッグでやって来れるのは休暇活動時の特権。

パイプ椅子にふんぞり返り、往路で購入した野菜ジュースを咥えていると、横あいから蝶番の軋む音。


「おや、アテムさんもお早いですね」

隊長のお出ましである。

「わぁ隊長、どうですか!」

「どう…とは?」

「わたしが一番乗りしちゃいましたよ!これまでなかなかできなかったのに!」

主人の帰宅を出迎える飼い犬よろしく、アテムはメタに飛びつく。


「一番乗り、ですか。あまり考えたことがありませんでしたが、確かに僕が普段隊室に向かった際はアテムさんがいらっしゃらない場合が多いですね」

「そうでしょそうでしょ!ほら、せっかく早く来たんですし、活動始めちゃいましょ!」

「アテムさんはせっかちさんですね。では、ゆっくり始めましょうか」

袖を引っ張るアテムに微笑むメタ。傍から見れば付き合ってる男女のようだが、これでいて全くそのようなことはない。


薄暗い隊室や外の日差しには似つかぬあたたかな空気を以て、今日も隊活動が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る