第2話 星屑のサイダー

 最近の流行は、星屑を混ぜたサイダー。味はレモン、アップル、ピーチ、マスカットなど様々だ。


 星屑を混ぜたサイダーを飲むと、体の中からシュワシュワと星屑が炭酸と一緒に弾ける。まず口の中に入れた瞬間に口の中で弾けて、喉を通過していく感覚は喉が焼けるようなでも冷たいような不思議な感覚だ。


 飲んだ人は数分間発光するので、お店の周りでは発光している人たちが多くいる。飲んだ味でも発光の色が変わるのでそこも人気の理由なのだろう。


「そろそろここでの販売も潮時かな。ここの近くの宇宙そらにある星屑もだいぶ少なくなったし」

 店主は飲み心地や発光を楽しむお客さんを眺めながら小さくつぶやく。


 店主が集めてくる星屑は、実は地上の人達のさまざまな感情が弾けて宇宙そらに上がり漂っているものだとは誰も知らない。


「どんな感情でも最後には綺麗な星屑になって宇宙そらを漂い、また人々に取り込まれるんだから面白いモンだよな」

 店主はカウンターに肩肘をついて口の端を上げる。


「すみませ〜ん!お会計お願いします」

「はいよ〜」

 お客に呼ばれた店主は、次の出店場所をどこにしようかと考えながらレジに向かった。





 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る