第14話 強き風哀れな蝉の短き命 奪われんとや慌て鳴きたり

強き風 哀れな蝉の 短き命 奪われんとや 慌て鳴きたり


 今朝、自宅近くの歩道を歩いていました。舗装されているとはいえ田舎道、すれ違う人はいません。

 急に足元からジッ、ジジジッといったような、けたたましいアブラゼミの腹を使って鳴く声が響いたかと思うと、その直後に道から空へと不安定に浮遊していきました。

 地上に出てからの短い命、その命を繋ぐため、使命を果たすために強風で体が弱っているにも関わらずメスを求めに行ったのでしょうか。

 もしかしたら、私に踏まれ一生を終えるのは不覚だと最後の力を振り絞ったのかもしれません。

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