リボーンゲーム
さいとうカフェイン
第1話 プロローグ
私は、白い部屋にいる。白い部屋と言っても、サイズという概念が存在しない無限に続く白い空間である。入口も出口も存在しない。何もない虚無だ。ここである方の話し相手になってあげるのが仕事というか、責務なのである。
「ねえ、フリーニャ」
けだるそうな声でその方は今日も話しかけてきた。
「なんですか、神様」
そう、この方は神様なのである。そして私は神様の話し相手のために神様によって生み出された存在である。それ以外に生きる価値がない存在。
神様が呆れた顔で語りだす。
「人間たちは未だに戦争やら誰かを傷つけるようなことばかりをしてるね。それに自分の悪さをいいことに「神様お願いします!」って手を合わせて僕にばっかり頼ってくるんだよ? まったく、、、学ばない生き物だよ」
また人間たちのことを憂いている。しかし、そんなにそれが嫌なら……。
「そんなに嫌なら神様が人間が悪いことをしないように作り変えたりすればいいじゃないですか…」
「な!…」神様は私の頭をバシバシと叩きながら
「そんなことをしたら僕のエゴだよ!
良いかい? 人間たちは自分でなにが悪いか良いかを考えて生きねばならないのだよ。人間のことには極力は干渉しないよ。それにつまらないじゃないか!! 人間観察は僕たちの唯一の娯楽なんだよ?? 良いことしかなくなった世界のなにが面白いんだ! あ、、、」
最初は神様らしいことを言って偉そうにしていたが、本性が出てしまってバツが悪そうな顔している神様。やはり神様は少々お
「ほんとこんな神様で人間たちが可哀想ですよ」
「フリーニャ酷い!プンプンだよ。君だってそれしか楽しみないくせに〜」
お口を膨らまして拗ねてらっしゃる神様。
たしかに先ほど神様のおっしゃっていることもわかる。私たちは人間を観察することぐらいしか楽しみもやることもない。しかし、さすがにそういう生活も無限に思える時間の中だと飽きがくる。
「でも、人間は戦争を繰り返してるだけですよね? 正直飽きてきましたよ。ちょっとぐらい神様が干渉してもいいのでは?」
と、素直な気持ちを神様に伝えた。
すると、神様は「うーん…」と困った顔をした後、なにか
「いいこと思いついたよ! 死んだ人間を生き返らせて、その中から生き残った一人になんでも夢が叶えられるような力をあげるんだよ」
自信満々の笑みを浮かべて私にドヤ顔をしてらっしゃる。でも、それはまずい、、、
「しかし、それでは人間が神に等しい力を手に入れてしまうのでは? 神様の存在意義が揺らいでしまいますよ」
神様は「はあ、、」とため息ついて語りだす
「じゃあ、そいつが次の神様でいいじゃん、、、。もう飽き飽きだよこんな生活。神様辞めたーい。正直最初から向いてないと思ってたよ。神様って僕にはさ」
死んだ目をしてらっしゃる。ほんとうに困った神様である。
「ということで、その準備をしてくるよ!」
と、どこかに行こうとしてる神様を私は引き止める。
「ほんとにやるつもりなんですか!?」
必死に抵抗する神様。自暴自棄みたいになっている。
「離せよ! 僕はこの計画を実行するんだ。もう名前も決めてあーる!」
急に真剣な顔をし、その計画の名前を口にする
「名付けて『リボーンゲーム』。どうだ、かっこいいだろ?」
名前がクソダサい、、、人間界はとんでもないことになりそうだ。
不敵な笑みを浮かべながら、どこかへと飛んで行く神様を見ながら、私はそう思った。
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