第3話 素晴らしきアイディア
「よし、まだ昼前だし狩りに行こう!」
「「「賛成!」」」
サルヴァンの決定に全員が賛同した。そりゃそうだ
「ねぇ、もしこの拡大解釈でみんなの成長率を
「…! ルウ! お前天才か!」
僕の発想にサルヴァンがはっ、とした顔をすると、視線が一斉に僕に集まる。
「より早くレベルが上がるのね! 試すべきよ!」
「なら1度ギルドでステータス確認をしてもらおう!」
「よし、計算はよく分からんからリーネに任せた!」
リーネが僕の言わんとしたことに気づき、試そうと声を挙げる。アレサの言う通り確かな数字は欲しい。しかし残念ながらこの中で字が読めるのは僕とリーネで、計算となるとリーネが上だ。
魔法を覚えるのには字が読めないといけない為、身体の小さい僕とリーネはそれこそギルドの受付の人に額を床に擦り付けて字の読み書きを教えてもらったのだ。あのとき周りに笑われたものだが、あの時の恥を乗り越えて今がある。僕にもリーネにもあのときは信念があったのだ。
それこそ笑いたい奴は笑えばいい。僕たちのような親の顔も知らぬストリートチルドレンは今日生きるためなら恥なんていくらでもかける。それでも犯罪にだけは手を染めないのが僕たちのちっぽけだけど唯一絶対の誇りだ。
「そうね、それが私の役目だもの。任せてよ!」
リーネは自信たっぷりに答えると僕たちは早速ギルドへ戻り、受け付けでステータス確認を行うことにした。
ギルドでのステータス確認は無料だ。といってもそれは駆け出しのF~Eランクまでの優遇措置。自分を知ることが生き残る秘訣らしいので駆け出しは無料なのだとか。僕たちは全員まだFランクで、討伐依頼も受けられない。常時依頼のオーク狩りでも、はぐれの野良以外は狩るなと口を酸っぱくして言われている。
「あの、ステータス確認をお願いします!」
「あら、龍炎の子達ね。わかったわ、自分を知るのは大事なことよ。とにかく死なないでね」
受け付けのお姉さん、ちゃんとアリシアさんて呼ばないとね。僕とリーネに読み書きを根気よく教えてくれた、僕たちにとっては頭の上がらない恩人なのだから。
ポニーテールの眩しい、優しくて胸の大きい僕の憧れのお姉さんでもある。歳は6つもお姉さんが上だし叶わぬ恋なのはわかってるけどね。憧れは憧れのままでいいのだ。
そして僕たちは鑑定の魔道具でステータスを教えて貰った。数字がよく分からないと数字を聞いてもピンと来ないため、計算の出来ない人には受け付けの人がアドバイスをする事になっている。
「今の蓄積経験値を教えてください」
「わかったわ。えーっと、サルヴァン君128、アレサちゃん117、リーネちゃん93、ルウ君96ね。リーネちゃん、ルウ君おめでとう、レベル3になってるわ! 魔力もリーネちゃんが42、ルウ君が38ね。大分上がったわね」
「やったわ、レベル3よ!」
「凄いすごい! もっと頑張ろ!」
レベルが上がったのが嬉しくて僕とリーネははしゃいで喜ぶ。すると、それを見ていた誰かが舌打ちしたのが聞こえてきた。
「ちっ、たかだかレベル3で喜ぶとかみっともねーなー! これだからガキは全くよう!」
ガタイのいいおっさんが机に脚を乗っけたままこれみよがしに悪態をつく。みっともないのはどっちだよ!
僕もリーネも14歳で成人前だし、サルヴァンは16でアレサは15と若いパーティなんだから見守ってやろうという優しさはないのかね、いい大人がさぁ。
僕たちはおっさんの挑発になんて乗らない。くだらない喧嘩で怪我をするなんて真っ平御免だ。バカにされているのは慣れている。
「行こう、あんなの相手にしなくていい」
「そうだよ、子供相手に悪態をつけるような恥ずかしい大人なんて相手にしなくていいよね。あんな大人だけにはならないようにしないと」
リーネは相当怒っているのだろう、めっちゃ悪口言っている。そしたらおっさん立ち上がり出した。ぴんち?
「ほう、こんな大人にはなりたくないだと? 言ってくれるじゃねぇか嬢ちゃん」
本当にからまれたーー!
勘弁してよ、子ども相手にさぁ……。
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