そもそも鉄の塊が空を飛ぶのがおかしい

In the First Place, it's Strange that a Lump of Iron Flies in the Sky

　悪銭身に付かずの悪友が矢鱈と自家用ジェット機を自慢して来るので、いっそケチを付けてやろうと、二人ぼっち密林上空遊覧飛行と洒落込んだものの、訊けばペーパーパイロットだというから、そういう事は先に言えと揉めている矢先に墜落し、密林を彷徨いながら、そもそも鉄の塊が空を飛ぶのがおかしいと口喧嘩に明け暮れていると、お約束とばかりに半裸の地元民に囲まれて彼等の村へ連行され、どうなる事かと思えば歓迎の踊り付きディナーをご相伴となり、九死に一生を得たついでに腹拵えも出来て俺達は本当にツイてると喜んでいたら、明らかにゲテモノ料理のフルコースと来たもんだから、お前の所為でこんな事に、そもそも鉄の塊が空を飛ぶのがおかしいんだと口喧嘩が再燃したが、どういう訳か言葉が通じる地元民が、早く食え、残さず食べるのが我等の礼儀だ、早く食えと催促頻（しき）りで、よく考えたらお互いすっかり腹ぺこなのは間違いないのだからと恐る恐る口にし、思った程にはそんなにゲテモノでもないかと思い込む事にして味わわずにがっついたら満腹過ぎて眠くなった次の瞬間には二人して縄でぐるぐる巻きにされていて、ボーイスカウト宜しくキャンプファイヤーの周りで今度は歓喜の踊りを見せ付けられたもんだから、やっぱりこういう典型的なオチか、そう言えば彼奴等は残さず食べるのが礼儀って言ってたもんなぁ、俺が先かお前が先か、上半身からか下半身からか、右半身か左半身かと引き攣りながら、来世ではペーパーレスパイロットになれよ、そもそも鉄の塊が空を飛ぶのがおかしいんだと口喧嘩がヒートアップした。