第7話
家に帰った俺は、机に薬を置いて速攻で配信をつける。
そうすると、またいつもの常連が俺の牛をを続くように入ってくる。
暇なのかこいつらは。
って、今はそんな事よりも…
「おい、お前たちよくも俺を騙してくれたな!」
本当に、何なんだこいつら!
なんでもっと早く教えてくれないんだ!
『帰ってきたか』
『ついに事の重大さを理解したか』
『逆になんで今まで知らなかったんだよ、俺達でも知ってるのによ』
『悲報、走者は情弱の最下層を走る者だった』
『騙したとは人聞きの悪い事を…自分で罠にはまったようなものじゃないですか』
クッソこいつら、好き放題言いやがって。
まぁもういい、この話題はもう過ぎたことだ。
「でな、みんなの言う通り今日は病院行ってそのまま帰ろうってなってたんだけど、その時に友達に会って今日は月曜日って言われてな、全然日曜日だと思ってたわ」
いやぁ、本当にびっくりした。
『日曜日から散々騒がれてたのに全然配信しないなぁと思ってたけどそういう事だったのか』
『この事が重大的になりすぎてアカウント残したまま逃亡したかと思ってた』
『それな、まぁ生きてるからもういいんだけど』
「でな、その友達にあった時走者がトレンド一位になった原因の動画を一緒に見てたんだけど、なんかファンだったらしくて『もう見てられない!』とか言ってな、結局最後まで見れてないんだよ…だから」
「みんなでその動画を見ようと思いまーす!!イエーイ!」
もう俺としても何が起こっているのかわからない、だから俺の出した結論はこうだ。
今この状況をめちゃくちゃに楽しもう。
結構重要視してたけど、別に走者がトレンド一位になったからって俺に実害があるとか別にそういうんじゃないしね。
『…すごいテンションだな』
『現実逃避…には見えないな、だってまだ動画最後まで見てないんだから』
『最後まで動画を見た後に、そのテンションを保っていられるのなら、ガチのポジティブだろうな』
「ガヤァがなんかうるさいぞ!じゃあ折角だし、もう一度最初から見ていこうか!」
画面をタッチしてダジョッターに投稿されている一つの動画をタップする。
20万いいね…化け物だなマジで。
「んじゃぁ、スターーーートーーーーー!!」
ポチっと動画の再生ボタンを押すと、今日見たところが最初から流れる。
そういえば、春香が走者は盗んでいったと言っていたが…聞いてみるか。
「なぁ、今日友達に走者は何かを盗んだって言われたんだけど、それってこの動画でわかる?」
『盗んだ?わからん』
『あー…なんとなくわかるかも』
『恐らくだが、あれの事だろう…まぁ言わない方がいいか、初見の反応が気になる』
『そうですね…少しかわいそうですが』
『あ、初見さんやん』
いつの間にか初見さんもうちの常連になってくれたな。
意外にも、この配信に来るだけなら人はいる、二か月に一人だけどな。
そこから常連になるまでは相当きつい。
『私はある人に助けられたのです、ドラゴンとの戦いでボロボロになったこの私を、後数秒で死ぬ結末を辿っていた私を助けてくれたのです、その人は私の事を抱き抱えて必死にドラゴンから逃げ、自分の右足に傷を負いながらも私を救出してくれました、もしかしたら私の方に向かってきた段階で死ぬかもしれないのに…自分の危機を顧みず私を助けてくれました』
お、今日見たところまで帰ってきたな。
『私を救出してくれた後も、お礼なんていらない、困っている人を助けるのは当然だと、彼は言ってどこかにワープしていきました、正直に言います、私は彼の事が知りたくなりました…いえ、そうではなく…私は彼が』
俺は画面をタップして一時停止をした後、視聴者に問う。
「友達とここまで見たんだけど、全然みんなが言うような危機ってやつが訪れてないんだけど、何みんなして嘘ついてる?」
『あぁ…そこで止めたかぁ』
『運がいいのか悪いのかって感じだな』
と、コメントでは言っていた。
どうやらこの後から俺の危機が訪れているらしい。
「まぁ分かったけど、次からすごいやばくなるんだよな」
俺はもう一度動画の再生ボタンを押した。
『私は彼に一目惚れしました、見返りを求めずに助けてくれた彼を…絶対に、絶対に私のものにします、普通ならば諦めていたでしょう、私は彼の名前も目的も住所や出身まで、何もかも知らない…しかし、私は神宮寺の名を冠する一人…絶対に探し出して、と言うより走者さんもおそらくこの動画を見ている事です、走者さん、絶対に捕まえますので覚悟して下さい。
捕まえたら何をしましょうか、やっぱりご飯の食べさせ合いなんて──』
この動画を止める。
なんか、この先からはもう何も情報が取れないからな…決して聞きたくないわけではない。
「ふぅ…よし、この動画はここで終わりかな」
『まだですよ^^』
『ほら、さっきの態度がどこに行ったんだ、お?』
『ほら、早く指を画面に近づけるんだ、神もそれがいいと言っているよ』
『……まぁ、本人ならではの悩みがあるってことか』
『他の奴にとっては嬉しい出来事かもしれんがな』
『走者さん、どんまいです』
労いの(?)のコメントが流れる中、俺は宇宙に轟かせるように叫んだ。
「一目惚れとかふざけんな事抜かしとんちゃうぞワレェェェェェ!!」
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