雑魚スキル『逃走』を駆使して、世紀のダンジョン攻略RTAをする~攻略中に一人の少女を助けたんだが、どうやらその人は超有名な配信者だった~

超あほう

第1話

 ダンジョン配信、今や日本で一番流行っている動画、配信コンテンツとして名が挙がる物だ。

 ダンジョンというゆるぎない現実感のない光景に視聴者は食いつき、配信者たちはそれを糧に飯を喰らう。


 しかし、誰しもダンジョン攻略配信ができるのかと言われれば、それは全くの勘違いだ。

 ダンジョン攻略配信以前の問題で、そもそもダンジョンに入るためには「スキル」を持っていないといけない、それにスキルを持っている人も非常に少ないため、さらに競争率が少ないのが特徴。

 スキルの内容自体は問われていないもので、判断基準は持っているのか持っていないのか、これだけである。


 スキルを開花させるためには主に必要なのが、これが悲惨なもので才能ときたもんだ、なんて理不尽な世界だろうか。

 他にもいろいろ裏的な方法もあるが、主な開花はすべて才能だ。


「あぁテステス、これ聞こえてるのかなぁ」


 そんな俺、小走 走こばしり かけるもダンジョン配信をしている身だ、もちろん才能での開花だ。

 今コメントでは『何回やるのこれ』『口臭い』など様々なことが寄せられている、とりあえず口が臭いといったやつは許さん。


 まぁ、配信者だなんて語っているが俺はゴリゴリの底辺配信者である。


 今ここに集まっている奴らも、うちの常連さんたちと言った感じで、もはや友達とも言うにふさわしいだろう。


「さて、じゃあ今回は前回に引き続いて、8階層から一気に飛んで20階層まで行こうと思うんだけど、ぶっちゃけどんぐらいかかると思うよ?」


 ふむふむ、コメントを見た感じだと、休憩ありで三日、休憩なしなら二日、やばいやつは1日、変態は三時間か。


「よし、じゃあ三時間で行こうか」


 配信しているスマホでは『自らを変態扱いする変態』『なぜ自ら地獄に行くのか』と言われる始末だ、それほどまでに異常行為であるのがわかる。


「じゃあ、もし三時間で行ったらこれを見てくれる初見さん、是非ともチャンネル登録をお願いしますね★」


 そう言った瞬間、俺は集中してコメントを全く見ずにそのまま走り出すという配信者あるまじき行為に出た。

 こんなんだから初見さんが来ないと言うのは俺が十分わかっている、しかしこれしかない。

 付近の魔物、宝箱を全て素通りして下へ下へと走り抜ける。


 その時、俺のスマホから『初見です、そんなに早く行けるとは到底思いません、もしやとんでもないスキルをお持ちなんですか?』と嬉しいコメントが目に飛びつく。


「おぉ初見さん!!初めましてだね、俺のことは気軽にダンジョンさんって呼んでくれると嬉しいな」


 コメントでは『まだ青いガキが、歓迎するぜ』『まぁ普通の配信者を見てたらそう思うわなw』とそのコメントに『どう言う事ですか?』と初見さんの質問にコメントを返した。


『普通の配信者を見ているならすぐに違和感に気づけるだろうが、こいつは全ての宝、魔物を全部無視してどんどん階層を潜っていく、まるで落ちるようなスピードで、俺たちの間じゃ走者って呼んでる。基本的に全部フル無視だから、必然的に攻略時間がクソ短くなるってわけ』


 そのコメントに『それって見てて面白いんですか?』と俺の心を抉る回答が飛んでくる。


『確かに見てて面白いかと言われればそうでもねぇ、スキルで派手なことはしねぇから見応えがねぇ、さらにずっと走ってるだけだからトークもねぇ、まるでゴミみたいな配信どころだ』


「それは言い過ぎだぞ!お前たちだってここにずっといるくせによぉ!」


 耐えられなくなった俺は、アンチコメントじみたコメントを叱る。


『待て待て、ちゃんと言うからよ』


 そのコメントを残してから数十秒後、ピロンのコメントが現れる。


『だけどよ、こいつの配信には疾走感がある、実際走ってるわけだからな。だからここにいる数人はそれを求めてここにやってくる、そしてコメント内数少ない視聴者と話す、そしてその中にたまに走者が入って雑談になる、人も少ないから全員会話に入れる、誰かを省くなんてことはねぇからそれが心地いいんだ、ある意味底辺であるからこそ、この配信のスタイルは成り立ってるんだ』


 常連からは『毎度毎度スッゲェ長文』『俺もこの熱弁に堕とされて今ここにいる』など、そして肝心の初見さんのコメントでは『なるほど』と反応に困った様子のコメントに俺は助け舟を出すように言った。


「まぁ気になるようなら、少しここにいる人たちと話してみなよ、案外面白いかもよ?」


 俺がそう言うと『そうですね…少し見ていきます』と返事をもらった。


 俺の心もひっさびさの初見からの常連が確保できそうで上機嫌になった。


 次のコメントでは、『質問なんですけど、この人のスキルは一体なんなのですか?』を流れてくるのに俺は苦笑いをした。


「それ企業秘密だから、誰にも教えてないの、もちろん一番最初の視聴者である長文ニキにもね」


 長文ニキというのは先ほど初見の人に対応していた人の名前だ、アカウント名は全然違うが、毎度毎度長文でこの配信を説明しているからそう名付けられた。


 ここにいる人たちも、この長文ニキによって堕とされた人たちが大半だ。


「まぁあまりきにしなくていいよ、俺のスキルを予想できる人なんていないしね」


 そう、俺のスキルは本当に誰にも想像がつかない、常連であればあるほど想像がつかなくなる、想像はつくが絶対に外れている。


 初見さんのコメントで『そんなにすごいスキルをお持ちなんですね』と流れてくるがその逆全く凄くはない。


 才能開花ではなく裏的な開花をした方がまだいいのが入ったかもしれないクソ雑魚スキルの『逃走』だなんて、ここにいる人ら含めて誰にも予想ができないだろうな。













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