第28話 ぞれぞれの考え

【はると、ほら、シャキッとする!】


【はい、すみません】


【もう~覇気無いな。全体が暗くなる】


 そんなこと言われてもね、珍しいんだよ、さきさんみたいな人、いつも常に元気って。


【はるとくん、ちょっと】


ユキさん、そうだね、OJT担当だったね。


【さきが昨日は、ごめんね】


【ユキさんが謝ることではないです】


【あのね、聞いたけどさ。私も同じ経験してるから。私も好きな人いたんだけどね。いろいろあって…親友がその人と付き合うことに】


 あっ、そっちか、機器のトラブルでなくて、好きな人のことか。さきさん、昨日のこと勝手に喋ってくれちゃったわけか。憶測も含みながらね。


 それで、ユキさんも苦労してるんだな。こんなに優しい人にそんな思いさせるとあり得ない!俺が偉そうに言える立場ではないけど。俺も似たようなものだ。りなのこと考えると。


【それ、辛いですね。親友ならなおさら】


なんか、自分に言い聞かせるようだ。


【でもね、困った時に支え合って、助けてくれたことたくさんあるから、今でも親友なんだ】


【よく、亀裂入らなかったですね】


 確認したいのか?自分の今後の行動も含めて。じっくり聞きたいな、重要なことだ。


【はるとくん、妥協しちゃ駄目!同情も。素直に正直になって。ちょっと後ろ向いて!】


【何するんですか?えっ目隠し。そんな古典的な】


ユキさん、真後ろにいませんか?


【今、誰が浮かんだ?もし浮かんでないなら…】


 ユキさん?抱きついてきた?俺の汗かいてるけど、

気にならないのかな?俺が気になる…


【はるとくん〜この瞬間に最初に誰が浮かんだ?】


 それは、ユキさんでしょ?何を試そうと。他には、すぐに浮かんだのは、


浮かんだ人………みさだ。


【はるとくん、みんな恋に関しては苦労してるよ。だって、それぞれ違う個性のバランスを取り合って結ばれるんだよ。もちろんその後別れることも。ただ本当の気持ちを変えちゃだめ!その先は後悔しかない。私、人のことも言えないけどね】


ユキさん、離れて、目隠しを取って、


【さぁ、仕事しよ!今日は定時で帰るよ!】


【ユキさん、アドバイスありがとう】


【どういたしまして】


………………………昼休み………………………


 ユキさんも苦労してるんだな。あんなに優しい彼女が出来たら普通別れるとかあり得ないけど。


 本当の気持ちを変えないとすると、大切な人、誰も傷つかないなんて不可能だ。中途半端にいくと、傷が大きくなるだけ。


 りな、ごめんね。暫く考えたい。嫌いになったとかそういうのではない。だから苦しいよ。


※バシッ!!※


いったいなー!こんなことするのは、やはり、


【青年!なに途方にくれてんだ!おい、しっかりしろ!】


 さきさん、相変わらず…いってーんですけどね!

足もまだ痛いんですか…反省してないですね。


【元気ですね~、さきさんもいろいろあった割には、克服の仕方教えてくださいよ】


【なーに、ユキか、あいつペラペラと】


【ユキさん、個人的なことは言ってませんでしたよ。それに、さきさんは個人的なこともいろいろ話してますよね?人のことも言えませよ】


【…はると、海行こう!すっきりするためには、海!いずれ来るんでしょ?私の経営急成長ホテルに。すぐ近くのビーチに行こうよ!】


なんか、自分でハードル上げてません?


【まぁ、いいですけど、二人ですか?】


【るい達週末忙しくしてるんだよね、あー、そうか!はると、るい達の水着見たかったんだね。残念!でもさ、でもさ、私の水着見れるよ、美脚もね】


【それはありがとうございます。でも、今後の転職先の社内見学させてもらえることに感謝いたします。ご協力ありがとうございます】


【何、その他人行儀でありきたりなマニュアル回答!私の話聞いてた?何かムカつく〜】


さきさんの戯言は無視するとして、


【水着にならなくてもいいので、すみません、お願いがあるんですが。みさの様子確認してもらえますか?】


【彼女に頼めばいいじゃん!】


【りなとは、ちょっと距離をおいてます】


【いろいろありそうだね、解った!任せてね】






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