第5話 謝罪配信②

 時間は16:30を回ったくらい。

 今日の配信が終わる時間まで、あと一時間以上ある。

 さて、どうしようかな……


 コメント

 :あかねちゃん!多分気づいてないけど、視聴者数エグいことになってるよ!

 :ついでに登録者数も急増してる


「ん?視聴者数?」


 ふと流れているコメントを見つけて、疑問に思った。

「視聴者数って同接のことだよね?なにかあったのかな?」


 そうつぶやきながら、同接数を確認する。



「えっ……」


 今まで多くても2000人くらいだった同接の数が……

「5万人⁉」


 カーソルを動かしてチャンネル登録数も確認する。


 昨日まで9万人だったチャンネル登録数が

「24万人⁉」


 コメント

 :w

 :気づいてなかったんかw

 :反応おもろい

 :銀の盾おめでと

 :¥2,000 5万人も同接おるなら初見の人もおるから自己紹介したほうがいいんじゃね

「あっ!そうだね!初見さんあてに自己紹介しないとね!こんにちこんこんっ!月狐あかねです!」


 コメント

 :かわいい!

 :これはファンになるのわかる

 :初めてVtuber見たけどこれは推せる

 :これで中身野球ファンっていう事実w

 :裏ではおっさんみたいなことを呟いてるなんて信じられんw


「誰だ精神年齢おっさんって言ったのは!」


 コメント

 :そこまで言ってねぇ

 :いや実際おっさ……おっと誰か来たようだ

 :まあ、ギャップがあってええんちゃう?

 :あかねちゃんって面白いんやな


「面白い、ですか……エヘヘ、ありがとうございます」


 コメント

 :ガチかわええ

 :これはグッと来る

 :騙されるな俺……この人の中身はおっさんだぞ……

「だから、おっさんじゃないですー!ただの野球好きです!」


 ――あぁ、なにこれ、むっちゃ楽しいじゃん。

 もちろん今までの配信も楽しかったけど、清楚キャラを守らなきゃっていう意識が強すぎて自分のことを型にはめ込んでいたところがあったのかもしれない。


 だけど、今回のことで、清楚キャラの私のことが好きなファンの方もこういう一面を許してくれるということがわかった。

 だから以前よりも少しのびのび配信をすることができるようになった……のかもしれない。


 ファンは宝物。

 日本ハムの新庄監督が言っていたことだが、まさにそのとおりだなと思う。


「これから、まだ時間あるんですけど、どうしましょうかね……」

 だから、ファンみんなが楽しめるようなことをしたい。

 心の底からそう思った。

 コメント

 :¥10,000 今から配信の時間余ってるなら新規も初見も楽しめるように質問募集しながら雑談配信しようぜ


「あっ、それいいですね!じゃあ、質問募集するんで、コメントに入れてください!」


 まだまだ配信は続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る