第6話 壊の恋愛観とある計画。
私は今日も今日とて、おいしい匂いにつられて目をこすりながらリビングの扉を開けた。
「ふああ……おはよぉ」
「おはよう
「ん~? 二五時くらいかな~? 別に普通の時間でしょ?」
「いや、十分遅いが。まあいいや、俺今から準備したらちょっと出かけてくるから」
「……え?」
出かけちゃうの? でも、お昼ごはん作ってたんじゃ?
「
「俺はもう食べた」
「へー……いただきます」
今日のお昼は焼きそばか。うん、さすが壊くん。麺全体にソースがいきわたっててもちっと触感を忘れてない。キャベツもシャキシャキお肉もジューシーおいしいね。
「そういや夜宵、今日は配信ないのか?」
「ん~ないよ~? 火曜日は毎週配信お休みだし~。どうしたの~?」
「いいや、今日はいろいろ予定が詰まってて遠出するから配信やるなら見られないなと思ってな」
「へ~遠出するんだ~……」
……遠出ね~…………ん? 遠出? 壊くんが?
「か、壊くん! と、遠出ってどこ行くの!?」
「うわっびっくりした。急に声でかくするなよ」
いやだって気になるでしょ急に遠出って! 今まで壊くんが遠出するなんてなかったし、なによりあの壊くんだよ? 外に出るのが嫌いなあの壊くんが自分からしかも遠出なんて異常事態だよ!! そりゃ声も大きくなりますよ。
「で? どこに行くの?」
「え? うーん……遠く?」
「遠出だもんね。で? どこ行くの?」
「教えない」
「なんで!?」
「なんでも」
「じゃあ私もついてく!」
「絶対ダメ」
「なんで?」
「なんでも」
理由になってないよ! 私に言えないようなところでも行くの? でも、そんな場所あるのかな? うーん……あ。
「そ、そうだよね。壊くんも男の子だし、女の私がいると……その……いろいろあるよね」
「まて。何を勘違いしてるか知らないが、多分それはない。ていうかお前の中で俺はどういう人間に見えてるんだ」
「いや、壊くんがっていうより、男の子はそういう生き物なのかなって」
「うん、心遣いはとてもありがたいですが、違います」
「そうなんだ……よかった……」
ほう……壊くんが知らない人とラブなホテルにでも行くとか言ったら、私もう絶対立ち直れなかったね。うん。でも、じゃあ本当にどこに行くんだろう?
「よし、それじゃあ行ってくるな」
「えっ? 準備はやっ」
あ……本当にもう行っちゃった……。いつもよりちょっとおしゃれしてたけど本当にどこ行く気なんだろ。誰か知ってそうな人……
「――てことがあったんだけど、朝姫なにか知ってる?」
寝起きの朝食否、昼食を食べ終わりすっかり目も覚めて、歯を磨いたり髪整えたり着替えたりもして部屋に戻ると、私はすぐに朝姫へ電話を掛け先ほどあった壊くんとのやりとりを簡潔に説明した。
すると、朝姫があからさまに口ごもった。
『え、あ~えっとね~う~ん……』
「え? 朝姫なにか知ってるの!? 知ってるなら教えて!」
『いやその~教えたいのはやまやまなんだけどね~? 多分それは壊くんにとって大切なことだから~私からは言えないな~ごめんね~』
壊くんにとって大切? それって……あれ? 壊くんの大切なことってなんだろう? 私、聞いたことないや。
「その、朝姫はさ……壊くんの大切なことを知ってるんだよね?」
『うん。その……知ってるっていうか~関わってるんだ~』
「関わってる?」
『う~んそうだなぁ……少し前に出てるならそろそろだと思うんだけど~……あ、来た~。夜宵ちゃん、ちょっと席外すけど電話切らないで待っててね? あと、驚いても絶対切っちゃだめだよ?』
「え? う、うん」
電話越しに朝姫が扉を開いてパタパタと歩いていく音が聞こえたしばらく後に、再び扉を開く音が鳴って朝姫の声が聞こえてきた。
『は~い入って~』
『ん、お邪魔します。相変わらず変わらんなお前の部屋は』
そうして聞こえてきた声は朝姫だけのものではなく、もう一人――壊の声があった。
えっ!? 壊くん!? なんで壊くんが朝姫の家に? 朝姫の家に行くのを秘密にしてたの? なんで?
頭の中が疑問だらけになって混乱するけれど、電話口から再び聞こえてきた声に意識が現実に戻ってくる。
『朝姫、早速で悪いんだが見せてもらえるか?』
『はいは~い。ばっちりだよ~』
カチカチとパソコンのマウスをクリックする音が数度聞こえた後に、スピーカーから壊の感嘆の声が聞こえてきた。
『うわっ……相変わらず神ってるなお前のイラスト。最高だわ』
『でしょ~? こっちのイラストは夜宵ちゃんに協力してもらったやつだよ~』
『ほんとだ。送られてきた写真にあったな』
え? イラスト? 壊くんは朝姫の絵を見るために朝姫の家に行ったの? それだけだったら私も連れて行ってくれたっていいじゃん! なにも秘密にする理由なくない? あ、なんか絵について談議が始まっちゃった。朝姫もなんか真剣そうに相槌うってるし。私なに聞かされてるの? なんか盗聴してる気分になってきたよ……でも、朝姫に切らないで待っててって言われたし……。
そうして大人しく待つこと十数分。ようやく談議が終わったらしく、雑談のような会話が聞こえてきた。
『ねえ壊くん~。壊くんは好きな人とかいるの~?』
朝姫!? 急になに聞いてるの!?
『突然だな。なんだ急に』
そうだよね? そうなるよね!
『いや~だって~壊くんいつも熱心に恋愛描写のイラストに意見言ってくれるからさ~、どうしてかな~って~。こんなの描かせるくらいだし~そういう子いるのかな~って思っちゃって~』
『ただ最高の出来にしたいだけだよ。好きな人とかは全然いない。ていうかそもそも百合だろ? 女の子しか出てこないんですよ。ジャンルを理解しろ。男はいらんのだよ』
『うわ~マジ語りおじさん出てきたよ~抑えて抑えて~』
『おっと、すまんすまん』
『別にいいよ~。それで~? 好きな人いるの~?』
『…………そうだな――』
……ごくり。
『――強いて言えば……夜宵とか――』
――えっ?
『おお~!』
『――朝姫とか』
え?
『え?』
『――零とかかな』
『壊くん』
『なに?』
『そういうのじゃなくて』
そういうのじゃないんだよ!! 心臓破けるかと思ったじゃん!!
『知ってた』
うう~! 壊くんの意地悪!!
『じゃあなんでよ~』
『だって言わないとずっと聞いてくるじゃん』
確かに朝姫はそういうところあるね。
『ずっと聞くよ~』
『だろ?』
だよね。
『うん! だから、好きな子いるの~? あ、恋愛的な意味でね~?』
『逃げ道なくしやがったコノヤロウ』
うわぁ……朝姫が悪魔すぎるよ……。
『いいから~いるんでしょ~?』
『はぁ……いないっての。ずっと一緒にいるんだからわかるだろ』
『むぅ……じゃあ彼女にするならだれがいい~?』
ねえこれさ、無理に答えさせようとしてない? いくら壊くんでも付き合いきれないんじゃ……。
『いないっつってるのに』
『いいから~こたえてよ~』
『あーはいはい。わかったよ。言えばいいんだろ言えば。そうだな……強いて言えばお前だな、朝姫』
あ……。
『へ? え? いや、いやいやいや、私?』
『そうだぞ?』
『なんで~!?』
『なんでって言われてもな……うーん……小さいころからずっと一緒にいるからじゃね?』
『それが理由なの~? それじゃ私のことを好きだって言っても説得力ないよ~。もっと他にないの~?』
はっ! そ、そうだよね。うん。別にナチュラルに告白したとかじゃなくて朝姫が無理やり言わせただけだもんね。うん。
『うーん……別に朝姫に女性的魅力を感じてないわけじゃないんだよ? そうだな……あ! そのおっぱいに顔を埋めてみたいな……って、そんな人を心の底から軽蔑するような目、朝姫にもできたんだな』
『いや、だって最低だよ壊くん。セクハラ反対だよ』
そうだよ。それはだめだよ壊くん。超えちゃいけないラインは存在するんだよ。
『いや、もちろん冗談だけど、お前にだけは絶対に言われたくない。でも謝るわ。まじすまん』
『で、実際は?』
『こう、実際に体験しないと文字で伝えるのは難しいっていうか?』
『もう最低~!』
『すまんて』
『はぁ……それで~? 私以上にかわいい子だっているのになんで私なの~?』
『いや、朝姫以上にかわいい子とかいないだろ。まあ、同じくらいかわいい子はいるけど。夜宵とか』
ち、茶番からの不意打ちやめて……っ!
『でしょ~? なのになんで~?』
『ん? んーまあ、夜宵でもいいんだろうな』
『え……なにその最低発言~』
…………。
『いやだから、言っただろ、しいて言うならって。本気じゃないんだよ。朝姫に対しても言ったように、夜宵に対しても女性的魅力を感じてないわけじゃない。容姿端麗、才色兼備、非の打ちどころのない美少女だしな。家事はできないけど』
家事ができないは余計だよ壊くん! でも、私のことそう思ってたんだ……。
『そうだよね~! 夜宵ちゃんヒロイン適正高いもんね~? 一緒に暮らしてるんだし~何かあっちゃったりして本気になっちゃったりするんじゃないの~?』
『まあ、何かないこともないな』
『ええ~!? ほんとに~!?』
『そりゃまあ、着替えの鉢合わせイベントくらいならスチル回収してるぞ?』
『な~んだ~それだけか~』
しかもそれ、私が壊くんの裸見る側なんだよね……。
『なんなんだよお前は……はあ……そんな一線を越えるわけないだろ』
『ありえない……!! 男子高校生と女子高校生がひとつ屋根の下で一緒に暮らしてて一線を越えないなんてありえない~!!』
『ありえてるだろ』
まあ、私もここまでなにもされないとは思わなかったな……そ、その……まあ……い、一線を越える覚悟くらいは決めて引っ越してきたし……って何考えてるの私っ! あ、朝姫が変なこと言うからぁ!!
『……まあ、別に……劣情を抱いたことが一切ないとは、さすがに言い切れないけど。
……でも、それは恋心とかそういう尊いものじゃない。誰もが抱く、ただの醜い性欲だ。そんなもの、直接ぶつけられるわけないだろ? ああくそっ……なに言わせてくれてんだまったく』
壊くん……。
『そういえば、好きな子がいるかって話だったな』
『え? う、うん』
『いないよ。俺は別に彼女とかも作る気はない。だってそうだろう? やれメッセージ返せ、やれ電話でろ、あげく遊園地やら水族館やらデート誘え。やってられるか。こっちだってやらなくちゃいけないこと大量なんだよ。だから、いない。……それに、こんなめんどくさい男を好きになる物好きだっていないだろ?
ああ、あと、さっき強いて言うなら朝姫とか夜宵って言ったのは、そうだな……推しみたいなもんだ。遠くから見てるだけでいいみたいな? アイドル的な感じ。確かに恋人ができたとか言われたらなんとなくモヤッとするかもだけど、素直に祝福するよ』
『……それが、壊くんの恋愛観なんだね~』
前にも彼女は別に欲しくないって言ってたけど、そういうことだったんだね。
『そうだ。だから、俺にラブコメ的展開をお望みなら、無意味ってことだな』
『ふ~ん……そうかなぁ~?』
『そうなんだよ。……でもまあ……それでも、俺に彼女ができるとしたら――俺に衝撃を与えられる存在に出会ったときかな』
『衝撃を与えられる存在~?』
どういうことだろ?
『ほら、あるだろ? 主人公にとって灰色の世界がヒロインに出会ったことで色づいていく、ボーイミーツガール小説みたいな? そんな衝撃があれば、俺も変わるんじゃないか?』
『あ~なるほどね~』
それは、私もなんとなくわかるかな。……壊くんに出会ったあの日、確かに私の中で何かが変わった気がしたし、私の人生もあの時確かに変わった。壊くんに出会えたから、あの時私は変われた……。
『ま、そんな存在いるはずないけどな。今まで朝姫と一緒に過ごしてきて、今は夜宵と一緒に暮らしてるんだ。そんじょそこらの美女美少女を見たってどうとも思わないしな。でも、超絶美少女ヒロインがアニメの中からでてきたらあり得るかもなー。それこそありえないが』
『ふふっ、そうかもね~』
『……少し長居しすぎたな。そろそろ俺は行くよ。まだ用事は残ってるからな』
『あ、そうだったね~ごめんねつき合わせちゃって~』
『別にいいよ。そのかわり、この話題はもう俺に振らないでくれ。自分が虚しい存在だと自覚してしまう』
『別にそんなことないと思うけど~わかった~もうしないね~』
『わかってくれたならそれでいい。それじゃまたな、朝姫』
『うん~ばいば~い』
朝姫の声のあとに扉が開閉される音がしてしばらく沈黙が続いた後、朝姫の息をつく音がスピーカーから流れてきた。
『夜宵ちゃん~まだつながってる~?』
「うん。つながってるよ」
『よかった~。ちゃんと全部聞こえてた~?』
「まあ一応ね。なんだか盗聴してる気分になっちゃったけど……」
『あはは~そうだよね~……ふぅ』
『……? 朝姫なんだか疲れてない? 大丈夫?』
少しだけ朝姫の声に、無理に明るくしてるような違和感を感じて反射的に聞いてしまった。すると、朝姫は笑みをこぼして大きくため息を吐いた。
『ふう…………いや~夜宵ちゃんには隠し事はできないね~。でも、心配しないで~? 疲れたのはそうだけど~体調が悪いとかじゃないから~。ただ~壊くんとこんな話をするのは私も初めてだったからさ~ちょっと緊張しちゃってね~』
「あ、そうだよ! ほんとにどうしてあんな話をしたの? 私も急でびっくりしたんだからね?」
『あはは~ごめんね~。でも~聞けたでしょ~? 今の壊くんの気持ち~』
「あ……」
確かに、朝姫の言う通り壊くんの気持ちを聞けた。女の子だって、異性としてちゃんと意識してもらえてはいた。……けど、壊くん自身に恋愛願望があまりにもなさすぎて、そういう相手としてはまったく意識されていなかった。これじゃ……。
「私……私じゃダメなのかな……」
『そんなことないよ~!』
「そう……かな?」
『そうだよ~! なんなら夜宵ちゃんじゃないとダメまであるよ~!』
「そ、そこまで?」
『うん!!』
あ、朝姫はなんでそこまではっきり言い切れるのかな……。
『だってさ、壊くん自分で言ったんだよ? アニメから出てきた美少女ならあり得るかもって!!』
「私アニメキャラじゃないよ? 三次元の人間だよ?」
『でも夜宵ちゃん、ラブコメのメインヒロインでもおかしくないくらいにヒロイン適正高すぎるんだよ~!』
そんなことないでしょ。ていうか、それなら朝姫もヒロイン適正? は高いと思うけどなー。幼馴染だし、神社で巫女服着て働いてるし、おっぱい大きいし、可愛いし、包み込んでくれる母性もあるし、趣味も合うし……やっぱり私よりヒロインっぽくない?
『そうじゃないんだよ夜宵ちゃん~』
「えっ!? 心読まれた!?」
『夜宵ちゃんのことなら、なんでもお見通しだよ~?』
うぐ……やっぱり朝姫は何かの能力者なんだ! ずるい!
『ふふっ、夜宵ちゃんはかわいいなぁ~。でもね、壊くんには夜宵ちゃんしかいないって思ってるのは本当だよ~』
「どうして?」
『夜宵ちゃんはさ~私の方がいいって思ったんでしょ~?』
「本当に心読まれてたっ!」
『お見通しって言ったでしょ~? まあ、今はおいておいて~、壊くんの
「絶対的に足りないもの?」
『うん~それはね~壊くんも言ってた衝撃だよ~。私は壊くんとずっと一緒に過ごしてきた幼馴染だから~お互いのことをすでにわかっちゃってるの~。わかりすぎてるくらいにね~』
ああ、なるほどね。ずっと一緒に過ごしてきたからこそ、逆に恋愛的に見れないやつだ。よくある家族みたいな感覚に近いやつだね。
『でも~夜宵ちゃんなら~、昔に一度会っただけだし~、まだ再開して半年もたってないんだから~、可能性は十分残ってると思うんだ~』
「それは……確かに。……でも、衝撃ってどうやって与えればいいの?」
『ふっふっふ~そこは朝姫さんにまっかせっなさ~い~!!』
あ、朝姫がすっごいノリノリだ。こんなにテンション高い朝姫は珍しいなぁ。
『じゃあ~、夜宵ちゃんヒロイン化計画の流れをお話しましょうか~』
「待ってなにその計画初めて聞いたんだけど!? いつの間にそんな計画立ててたの?」
思わず声を大きくしてしまったけど、それに一切の動揺を見せず朝姫が当然だというように言ってきた。
『ん~夜宵ちゃんが壊くんを好きだって知った時からかな~?』
「結構前からだった!」
『まあ~、二人にはくっついてほしかったし~、夜宵ちゃんにもいろいろアドバイスしたのはその一環かな~?』
確かに引っ越す前にいろいろ聞いたことはあったけど、あの時にはもう始まってたんだ!
『でも~今回の作戦は~壊くんの話を聞いて新しく考えた作戦だよ~』
「あ、そうなんだ……作戦考えるのはや……」
そう感心していると、早速朝姫がその作戦とやらを語り始めた。
『それじゃあその作戦なんだけどね~? 決行は~今度やる花火大会がいいと思うの~。夜宵ちゃん、花火大会やるの知ってる~?』
「あ、それなら聞いたよ。毎年三人で行ってるんでしょ?」
『そうそう~。いっぱい屋台も出てるんだよ~。そこで~、一緒に花火大会に行くの~!』
「それは……もう行く約束はしてるけど」
『え~!? はや~い! 夜宵ちゃん意外と隅に置けないね~』
あ、今絶対朝姫ニヤニヤしてる。ぜえったいしてる。
「朝姫が、壊くんは鈍いから積極的に直接的にいった方がいいって言うからそうしただけだよ」
『んふふ~そういうことにしておいてやろう~』
なにが、そういうことにしておいてやろう~だ。別に……ただただ壊くんと一緒に花火見たいなって思って普通に誘っただけだし。
「それで? 作戦っていうのはなんなの? 一緒に花火大会に行けばいいだけ? それだけならもう、約束取り付けてるし問題ないよね」
『のんのん~、もちろんそれだけじゃないよ~』
「それじゃあ、どうするの?」
『壊くんに~夜宵ちゃんをヒロインとして見てもらううために~、もちろんオシャレは欠かせないから~当日は私の家まで来てほしいな~。いっぱい可愛くしちゃうからね~』
……まさか、終業式の日のときみたいなのをまたやったりしないよね? 大丈夫だよね?
「お……お手柔らかにね?」
『……? もちろんだよ~』
「な、ならいいけど……そのオシャレで印象付けて衝撃を与えるって感じでいくの?」
『ううん違うよ~。オシャレはあくまで下準備~。この作戦は王道の王道をゆく作戦であります~。花火大会という舞台を利用して~壊くんを堕としちゃお~』
「お、おー?」
なんだかよくわからないけど、朝姫がノリノリのときってちょっと心配なんだよなぁ。でも、私のためにいろいろ考えてくれてるんだし、目いっぱい頑張るぞー!
『それじゃあ作戦の概要なんだけどね――』
そうして朝姫との作戦会議は、夜更けまで続いた。
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