第10話 遊園地に来た

「ついに来たぜ!ジェットコースターの悲鳴、お化け屋敷の悲鳴!バイキングの悲鳴!遊園地だー!」


『いぇーい』


「うるさ」


「元気ですね」


「……」


クラスメイト10数人を引き連れ先頭に立つ司とその熱気で一歩引いて見ている、海斗、沙耶、祈織。なんというか目立っていた。恥ずかしいくらいに。陽キャというのはうっざと海斗は思って見ていた。


「じゃあまず、何乗る?」


「やっぱ、お化け屋敷じゃね」


「初手それはアホ笑」


「じゃあ、ドラゴン?」


「いいね!」


「それ」


わからん何語だ?日本語?英語?ハンガリー語?そもそも、こいつらのテンションどうなってんだよ!スティールドラゴン人の心をわしずかみにするから盗むなんて意味らしいドラゴンは知らん。並ぶ前の看板に書いてあった。


「暇だな」


「うん、暇。」


「あいつら何であんな元気なんだよ」


海斗と沙耶は前にいる元気な司達を見てよけい疲れを増していた。そもそも、あまり、友人と楽しむ、遊ぶといった経験がない二人だ、彼らのテンションに合わすのは無理だった。


「じゃあ勉強するか」


「そうですね……え!?べ、勉強!ここでですか?」


「あぁ、流石にノートは無理だが教科書と単語帳くらいなら持ってきたぞ?使うか?」


「な、なるほど……お借りしますね」


一度、祈織は前の連中を見て、あそこに混ざるのは無理だと直ぐに感じ海斗から教科書を借りた。


「おう」



並んでいる中、周囲から歪な集団として見られていた理由は単純、前は騒がしく後ろは勉強。

困惑から他の人の注目を浴びていた。ただ、単語帳を見ているなら分かるが、海斗、沙耶は違った。


「だから、ここは接続詞を使うんだ!」


「えぇ?でも、前置詞で」


単語帳を赤シートで隠し、ここはこうだと、教えている


「あんたら、ここで勉強ってマジ?」


「あ?祈織お前は勉強しないか?」


「するか!こんなところでまで勉強したくないわ!」


「え、お前ら引くわー」


前の方から一名こちらに歩いてくる。チキンを手に持ちキャラの着いたカチューシャを着けいかにもノリノリな司だった。


「ずっとやかましいからな集中はできん」


「はい、今日は勉強なし。没収」


「あ。おい」


「そもそも、沙耶ちゃんメインなのに何で勉強してるんだよ」


「そんなのお前らがやかましいからだろ」


その質問には謎の間が空いて、司は前に戻って行った。そんなこんなで、順番が回ってきたがやたらと人数が多いので二回に分けてるのことになった。


「なぜ、俺らだけ」


「いいだろ、余ったの俺らだし」


「よろしくお願いしますね、怖かったら手握ってあげますよ?藤浪くん」


「はぁ?お前こそ怖がってるだろがほら、手震えてるぞ」


「どこがですか?私だって余裕ですけど?先頭でもいいですけど?」


「は、俺だって余裕だね、両手上げてやってやるよ」


周囲を関係なしに二人の世界で喧嘩?する。まるで子供、さっきまで勉強していた、真面目な二人はどこえやら…


「……」


「いのりー、お前海斗と乗りたいのか?」


「は?なんで?」


「自覚なしかよ」


「あの、お客様、まだでしょうか?」


「あ、すいませんほら、突発イチャイチャは控えて行くぞ」


『誰がだ!』


悲鳴はあげず二人は目を瞑って、安全バーをがっちり掴んでビビり散らかしていた。そんな二人の写真を見て司は大爆笑していた。それでも二人はどちらもマウントの取り合いだった。俺の方が目を開けてるだの、私は少し手を離しているとかくだらない争いが起こっていた。



「……」


祈織は何故か目に入る二人を見ていた。ギャーギャーと喚く二人の姿を、周囲のクラスメイト達は、次何行くかなどの話をしている中祈織は案も出さず、二人を見ていた。その瞳は何か遠くなってしまったと後悔しているように見えた。


「恋愛ってめんどくせぇ」


司はそんな三人を見て思った。

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