第8話 おいしい勉強会
「おはよう、ルイくん!」
「……おう」
いつものようにダンジョン前で落ち合ったルイは、いつになく不機嫌そうだった。ぶすっとした表情の彼は、背中に黒いランドセルを背負っている。
(ランドセルしか持ってないのかもな……)
休み中にランドセルを背負う違和感を覚えたが、さらりは口には出さなかった。ルイは5人兄弟の長男だと言っていた。お小遣いも貰っていないようだったし、金銭的には色々と困っているのだろう。それを掘り起こさないで黙っておくくらいのデリカシーは、さらりにもあるのだ。
「夏休みの宿題、ちゃんと持ってきてくれたんだね! 良かった!」
「……ソフトクリームのためだからな」
「わかってる。勉強したら食べようね」
ランドセルを背負っているということは、夏休みの宿題をちゃんと持ってきたということだ。それで充分。ルイの気が変わらないうちに、さらりはさっさと歩き出す。
「マップで調べたら、徒歩でも20分くらいで着くって出てたんだよね」
「20分? まあまあ遠いな」
「遠いかなあ。歩けると思ったんだけど」
予報以上に遠い道のりだった。
午前中とは言え既に日は高く、日差しが空から降り注いでいる。さらりは、額に滲む汗を拭った。
「確かに遠いね」
「だから言ったろ」
「どうしてルイくんは平気そうなの……?」
さらりの隣を歩くルイは、汗こそかいているが表情は涼しげだ。
「ははっ、もう疲れてんのかよ。弱っちい奴」
「もっと体力付けなきゃだめかなあ……ルイくんって、何か運動してるの?」
「別に。……あ、でも家に居たくねえ時、『走ってくる』っつって外に出てた時期あったわ。毎日1時間は走ってたぜ」
「1時間も? すごいね」
「そうか? そうでもねえよ」
そう答えるルイは満更でもなさそうだ。褒められると素直に喜んでしまうし、それが顔に出ているところは子供らしくて可愛い。
そんな子供に体力で負けているわけで、さらりは少し自分を情けなく思った。中学の頃は運動部だったが、高校では帰宅部。運動量は明らかに減ったのだ。
生活を省みているうちに、歩道の人通りは少しずつ多くなる。談笑する若者に紛れ、さらりたちも門をくぐる。
「え? 入っていいのか?」
「大丈夫だよ。私、ここの学生だから」
「ここの……さらりって、大学生だったのか?」
「ちがうよ、私は高校生。ここは系列の大学なの。大学の図書館は静かだし広くて綺麗だし、勉強するにはちょうど良いんだ。校外の人も登録したら入れるから、ルイくんも入れるよ」
「ふーん……」
門を入ってすぐの並木道には、青々とした葉を茂らせた木々が並んでいる。木漏れ日の下を歩いていると、暑さにやられた精神が少し回復するような感じだ。その並木道を途中で曲がると、そこが聖美学園大学の図書館である。
華やかな格好をした学生とすれ違い、自動ドアをくぐる。冷房の涼しい風が頬を撫でた。生き返った気分だ。
「すみません、この子の利用登録をしたいんですけど」
「こちらの用紙に記入をどうぞ」
入って正面にある受付に声を掛けると、優しそうなお姉さんが対応してくれる。ルイはペンを借り、真剣な表情で必要事項を記入し始めた。
「お願いします」
「はい……確かに。それでは、こちらの利用証をお渡しします。これはゲートを通れないので、いらした時にはこちらへ声をかけてくださいね。こちらの方で操作しますので」
「わかりました」
「今日はこのまま中へお進みください。いってらっしゃいませ」
「いってきます」
受付の横には自動ゲートが4つ並んでいる。一番受付に近いゲートが、受付嬢の操作で開いた。ルイはそこを通り、さらりは学生証を取り出してゲートの読み込み部に当てた。ピッ、という電子音と共にゲートが開く。
「なんか……すげえな。落ち着かねえ」
「私も最初は落ち着かなかったよ。大学生ばっかりだもんね」
聖美学園大学は女子大なので、どこを見てもきれいな女の人ばかり。ガラス張りの会議室には活発に話し合っている人たちの姿もある。場違いな雰囲気に緊張すると同時に、大学生ってこんな感じかなあ、と想像が膨らむ。勉強へのモチベーションが高まるので、さらりはここを気に入っている。
吹き抜けや、カラフルな丸テーブルの並んだオープンな空間を通り抜け、本棚の間を進む。だんだんと紙の香りが強くなり、辺りは静かになる。時折現れるテーブルでは調べ物や勉強をしている様子の学生の姿があり、落ち着いた雰囲気だ。
「あ、空いてる。ここにしよ」
空席のテーブルを見つけ、背後のルイに声をかけた。彼はランドセルの肩紐をそれぞれの手で握り、肩を縮こまらせている。
「俺……いいのかな、こんなところに居て」
「大丈夫だよ、利用証をもらったでしょ。それに私も一緒だから。保護者が居れば『しばかれ』ないんでしょ?」
「それはダンジョンの話だってば……まあいいや。あんたがいいって言うなら」
ルイは椅子を引き、4人掛けの奥側に座る。さらりは向かいに座り、【収納庫】から宿題の用紙と教科書を取り出した。重い本を持ち運ばずに済むのだから、改めて【収納庫】は便利である。
「ルイくんは、どんな宿題出てるの?」
「ん……これ」
ランドセルの中から紙をぺらりと取り出し、無造作にさらりの前へ突き出してくる。計算ドリルや漢字練習、作文や自由研究。ポスター作成に調べ学習などもある。さらりが小学生の頃は、自由研究に苦労したものだ。郷愁に駆られ、目を細める。
「……懐かしいなあ」
「そんならお前にやるよ。俺はいらねえから」
「貰えないよ。これ見ないと、宿題が何だかわからなくなっちゃうでしょ」
「俺はやらねえ。さらりが宿題をしてんの、1日見てたらソフトクリーム奢ってくれんだろ? そのために来たんだよ」
「あー……」
なるほど、そういう理屈を考えてきたか。さらりは暫く返答に迷い、視線を泳がせる。
宿題はしなきゃだめなんだよ、と言っても無駄だろう。そんなことは、周囲の人から飽きるほど言われているはずだ。それにルイは賢いから、宿題はやるべきものとして課されていることくらい理解していると思う。その上でやらない。やらない、と決めているのだ。
「……どうして、宿題をやらないことにしてるの?」
責める雰囲気をできるだけ排し、そう聞いてみる。
「めんどくせえからだよ」
「いやー……でも、やらない方が面倒じゃないの? 先生とか親に、宿題しろって怒られるでしょ」
「まあな。あいつら、怒る意味がわかんねえんだよ。俺なんか勉強したってしょうがないのに」
「そうなの? ルイくん頭良いから、勉強したら楽しそうなのに」
「本気で言ってんのか?」
「うん。ルイくん、同級生かと思うくらいしっかりしてる時あるんだよね。頭いいんだなーって思う。それにほら、私みたいに道にも迷わないし」
「……それはさらりが方向音痴なだけだろ」
少し赤くした頬をぽりぽり人差し指でかき、ルイは視線を逸らす。少し踏み込んだことを聞いたけれど、怒っている訳ではなさそうだ。少しは仲良くなれたのだろう。ルイとの心の距離が近づいたことに、さらりは嬉しさを感じる。
「……俺んち、高校に行く金なんて絶対ねえから。中学卒業して働くなら勉強なんてしなくていいんだろ?」
「それ、誰に聞いたの?」
「爺さんが言ってた。俺の爺さん、中卒で菓子屋に入って修行して職人になったんだってさ。学校の勉強なんかしなくても真面目に働けばいいって」
「お爺ちゃんかあ……」
その頃とは時代は変わっているんだろうなあ、とさらりは思う。少なくともさらりの中学時代の卒業生は、皆高校へ進学した。その事実を伝えたとて、「俺には関係ない」と言われてしまえばそれで終わりだ。
「……ルイくんは、卒業したら職人になりたいの?」
「なりたい訳じゃねえよ。それしかねえってだけ」
「お金があったら高校に行きたいかもしれない?」
「わかんねえけど、そうかもしれねえな。でも無いもんは無いんだよ」
「んー……でも、もしかしたらさ、家の人が7億円の宝くじを当てるかもしれない。そうしたらルイくんは高校に行けるよ。行けるってなった時に、ちゃんと勉強しておいたら、行きたい高校に行けるかもしれない」
「行きたい高校なんてねーよ」
「ない人ほど、勉強しといた方がいいんだよ。いざ行きたい高校ができた時に、勉強しといたら苦労せず行けるかも。勉強って、自分の可能性を広げてくれるから」
幼い頃、さらりは父にそう説明されたことがある。勉強は自分の可能性を広げる。実際さらりは勉強したことで聖美学園に入学し、高校生ながらダンジョン探索が許され、「ドラゴンステーキを食べる」という夢に近づいたのだ。確かに、可能性が広がったことある。
「……うるせえ。しないもんはしねーの」
「だよねえ……」
こんな説得で頷くようなら、既に勉強しているだろう。これ以上理屈を振りかざしてもしょうがない。ルイが勉強しないのは「家にお金がない」が理由だし、それはさらりには解決してあげられないのだ。
「……でもさ、ちょっとだけ。計算ドリルだけやらない?」
「やらないって言ってんだろ」
「私が勉強してる間だけでいいから……どうしてもだめ? ルイくんが宿題やってないって思ったら、落ち着かなくって勉強に集中できないよ」
「それなら俺なんか連れて来なきゃ良かっただろ」
「ルイくんと一緒に居たかったんだもん。でも勉強もしなきゃいけないの」
「……我儘な女だな」
「そうだね、そうみたい」
ルイの指摘通りだ。ルイが宿題をして、少しでも良い方向に向かってほしいと願うのだって、さらりの我儘。ルイと一緒に居たいけど、夏休みの宿題も終わらせたいのもさらりの我儘。
(そういう指摘がぱっと出る辺り、やっぱり賢いよねえ……)
その賢さを無駄にするのは勿体無い、と思うのもさらりの我儘。我儘だが、何かせずにはいられないのだ。
「お願い。私の我儘に付き合ってくれない?」
「……」
沈黙だが、その表情は嫌なものではない。そういえば、昨日もこんな感じだった。あとひと押し、首を縦に振る理由づけが要るらしい。
「ソフトクリーム、トッピングも付けてあげるからさ」
「……ちっ、仕方ねえな」
「やった、ありがと」
「ずっと我儘に付き合ってるようなもんだからな。待ってるだけじゃ暇だし、やろうとは思ってたんだよ。だから持ってきたんだろ」
「そうなの?」
「ああ。……でも何か、さらりの顔見てたらやる気なくなったんだよ」
「ええ……」
自分が居ない方がルイのためになるのだろうか。表情を曇らせたさらりに気づいたらしく、ルイは「最初だけな」とフォローしてくれる。
「お前の勉強の邪魔するつもりはねえよ。さっさとやろうぜ」
「……あ、うん。そうだね」
一瞬のうちに立場逆転である。なぜかルイに勧められ、さらりは宿題に取り組み始める。
大学の図書館で勉強することの良いところは、同じ空間に勉強している人がいることだ。互いの顔は見えないし、音も聞こえないが、静かな気配の中に集中の色が漂っている。その中にいると、自分も勉強に集中できるのだ。
目の前に一緒に勉強している人がいると、それは尚更である。頭や目が疲れて少し顔を上げた時、真剣に計算問題を解いているルイの顔を見ると、自分も続きに取り組もうという気持ちが湧いてくる。
(悩んでる……?)
何度目かに顔を上げた時、ルイは眉間に皺を寄せ、頭を掻いていた。睨むようにドリルを見つめ、下唇を噛んでいる。考えているだけなら邪魔したくはないが、それは苛立ちに近いように見えた。持っていた鉛筆をトントントン、と小刻みに机に当て始めたところで、さらりは「ねえ」と静かに声をかける。
「もしかして、難しい問題がある?」
「ん? ああ。これだよ」
「どれ? ……あ、ちょっとそっち行くね」
正面からだといちいち回転させなければならないので、さらりはルイの隣に移動しドリルを覗き込んだ。
「えー、小学生ってこんな問題解くんだっけ。けっこう難しいんだね」
「難しい。このへんは授業でもよくわかんなかったんだよ」
「私なりに説明してもいい? 解き方ならわかるよ、多分」
「いいけど、勉強するんじゃなかったのかよ」
「ルイくんのおかげで順調だから、ちょっとくらい寄り道しても大丈夫。これ……ほら、ドリルの端っこに説明書かれてる。読んでごらんよ」
「……あっ、そういうことか」
「なーんだ、自分でできるんだね。解いてみて解いてみて、ルイくんなら簡単にできるよ」
ルイが書き込んでいく計算式を横から覗き込み、励ますだけの係。ルイは勉強が苦手なのかと思ったら、授業はちゃんと聞いているらしく案外よくできる。
「私の説明がなくても解けたね、きっと。余計なお世話しちゃった」
「いや……教えてくれてありがと」
「え? あ、うんっ。どういたしまして」
お礼を言われるなんて思っていなかった。さらりは何度か瞬きしてから、笑顔で返事をする。
その後はルイもさらりの助けを必要とすることはなく、静かな時間が流れるのみ。流れた沈黙をやっと破ったのは、控えめなルイの呼びかけだった。
「……なあ」
「ん?」
「そろそろ腹減って来たんだが。昼だろ。何も食わねえの?」
「ああ、ほんとだ。もう12時過ぎてるね。集中しちゃって、時間見るの忘れてた」
不思議なもので、お昼だと認識した途端に空腹を覚える。さらりは腹の虫が今にも鳴きそうなお腹を撫でつつ、荷物を【収納庫】へしまった。
図書館裏手の広場で昼ご飯を食べ、また図書館へ戻る。集中して課題に取り組むさらりが次に時計のことを思い出したのは15時半であった。
「……ルイくん。ルイくん、おはよ」
「ん……? わり、寝ちまってたわ」
「お昼ご飯の後って眠くなるよね。きりが良いところまで終わったから、そろそろ出よう」
「おう。……起こしてよかったんだぞ。俺が勉強してないと、あんた落ち着かないんだろ」
「午前中あんなに頑張ってたから、ルイくんが寝てても『眠くなるくらい頑張ったんだから、私ももっとやらなきゃ』って思えたんだよね。それで起こさなかった」
「何だそれ。変なやつ」
ルイは立ち上がり、うーん、と伸びをする。
「頭がすっきりしたわ。俺、またここに寝に来ようかな」
「寝に来るの? 椅子も硬くて熟睡はできないでしょう」
「家よりはマシだぜ。弟も妹もうるせえし、妹なんかは夜も起きて泣いてっから寝れねーんだよな」
「えー、それは……大変だね」
ひとりっ子のさらりには想像もつかない生活だ。充分に同情することすらできない。ルイのために何かしてあげるには、自分はあまりにも力不足だ。
そんな無力感を覚えつつ図書館を出る。並木道をさらに奥へ。そこにあるカフェテリアは、誰でも利用することができるのだ。
「ここのソフトクリーム、美味しいって有名なんだって。卒業してからも、わざわざ食べに来る人がいるらしいよ」
「ふーん。よく知ってんな」
「高校の先生に、ここの卒業生の人がいるんだよね。授業中の雑談でいろいろ教えてくれるんだ」
「へえ……おっ、うまそう」
カフェテリアは外にも座席があり、今まさに女子大生が並んで座ったところだった。彼女たちが持つ美味しそうなソフトクリームに、自然と視線が吸い寄せられる。
「ソフトクリームをふたつ。ひとつはトッピング付きでお願いします。ルイくん、トッピングは何が良い? って」
「んー……チョコチップ」
「それでお願いします」
程なくして、カップに盛られた真っ白なソフトクリームがやってくる。それらを手に、さらりたちは2階に上がった。目の前の広場を見渡せるカウンター席に並んで腰掛けた。
「いただきます」
「お、うめえ」
ルイは早速、ソフトクリームにかぶりついている。さらりも尖った先端をぱくんと口に含んだ。冷たく甘いソフトクリームが口の中で溶け、濃厚なミルクの味と香りがいっぱいに広がる。
「わあ、ほんとだ。美味しい……! こんなに美味しいんだ。来てみて良かった」
「さらりは食べたことあるんじゃなかったのかよ」
「ないよ、ひとりで食べたって楽しくないもん。ルイくんが居るなら食べに来てもいいかなーって思ったの」
「ふーん、そんなもんか」
「うん。前にね、買って来たお菓子をひとりでこっそり食べたことがあるんだけど、そんなに美味しくなかったんだよね。やっぱり、美味しいものは誰かと食べてこそなんだよ」
ひとりで食べていたら、きっとこんなに感動はしなかっただろう。意外とさっぱりとした後味のソフトクリームは、次のひと口が止まらない。気付けばぺろりと食べてしまって、あとはコーンを齧るだけだった。
「頭が疲れた後に食べる甘いものって、たまんないねえ……」
頭の中に折り重なった疲労感がふわっと抜けていく心地良い感じを楽しみつつ、さらりはぼーっと目の前の広場を眺めた。
「……あーあ、食い終わっちまった」
「いくらでも食べられそうだよね」
「ああ、うまかったわ。ありがとな」
「どういたしまして。……そろそろ帰ろっか、ルイくん。ダンジョンの前に戻ればいいの?」
「おう。俺の家、あそこから近いんだよ」
「そうなんだ。……それなら1回、ご挨拶に行こうかな」
「は? 何でだよ!」
ルイはあからさまにしかめ面をする。嫌がる気持ちはわからないでもないが、どこかで機会を見つけ、一度は挨拶すべきだと思っていたのだ。
「夏休み中、私がルイくんの保護者になってダンジョンを連れ回すわけでしょう? 顔も名前も知らない相手に任せるのなんて、心配するだろうから」
「心配なんかしねえよ」
「すると思うけど……いずれにせよ、無断で連れ回すのは良くないだろうから、挨拶しておきたいんだよね。あ、ルイくんのお父さんはダンジョンが嫌いなんだっけ。怒られちゃうかな」
「今日は父親は居ねえけど……」
先程までのご機嫌はどこへやら、ルイはぶすっとした表情である。
「……俺はどうでもいい。さらりがそうしたいなら、そうしろよ」
「なら、玄関先で少しだけ挨拶させて貰うね。ありがとう、ルイくん」
「別に」
不貞腐れながらもルイは前を歩き、家まで案内しようとしてくれる。その背には黒いランドセルが揺れていた。
(小学生なんだよなあ……)
普段のルイは妙に擦れていて、小学生らしくない。彼をそうさせた家の雰囲気がどんな感じなのか気になる、という好奇心もある。
「うるせえし散らかってっけど、文句言うなよ。来たいって言ったのはさらりなんだからな」
「わかってる。それに中には入らないよ、安心して」
「……ふん」
それに何より、友達の家族に会うのは楽しいものだ。似ているところがあったり、似ていなかったり、そういうところを見つけるのは楽しい。ルイの弟や妹に会うのは、普通に楽しみだ。
少しぴりつくルイとは正反対に、さらりはどこか呑気な気持ちで彼の後を歩くのだった。
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