第11話 *ガチャガチャセンター 3*




「女子高生といえば、髪型はポニーテールだよね!」


『でた! アリスちゃんの趣味!』


『ポニーテールwwww』


『お揃いにするんだ』


 アリスの髪型もポニーテールである。ポニーテールはデフォルトの髪型の一つなので無料だ。


「あとは、靴とかアクセサリーとか小物選びます」


 といって、アリスはぽんぽんとアバターの小物を選んでいく。


 背後であずみが「こんなに買うんですか!」とか「これはちょっと、嫌です!」とか抗議しているが聞こえなーい。あずみに任せておいたら、絶対に地味な女子高生が出来上がるのだ。それは避けたい。


「じゃ、武器を選びたいと思います! なにか案があればコメントください!」


『弓にしよう! 弓使いのJK!』


「弓か〜。あずみちゃん、味方を誤射しそうだから却下です!」


『機関銃にしようよ! 快感って言って欲しい!』


「ネタ古くないですかね? あずみちゃん、わかる?」


「快感……? なんですか?」


「あー、やっぱり、わかんないみたい。歳はとりたくないな〜」


『魔法職は? アリスちゃんとバランス取れそう』


「お、いいですね。難しいけど、若いから飲み込みもはやいかな」


「魔法もあるんですか? この世界」


「いくつか種類があるよ。詠唱魔法とか、癒し手とか、歌魔法とか」


「面白そうですね」


『日本刀! 日本刀にしよう!! JKの日本刀使いがいい!!!!』


【まさひーさんが26000ルクス課金しました】


「わー。まさひーさん! 26000ルクスも投げ銭くれるの!!? 大丈夫!?」


『日本刀使いJK爆誕のためなら!!!!!』


『ひくわー』


『何この熱意』


「なんか、まさひーさんの熱い熱意に答えないといけない気がしてきたから、あずみちゃんの武器は日本刀にしまーす」


「え、決まりですか?!」


「決めちゃいまーす」


 所詮、アリスにとっては他人の装備である。ぽちっと自販機を操作して、日本

刀を購入してしまった。


 あずみの腰に日本刀が下がる。


「う〜ん。こんな調子でどうでしょうか? 大体必要なものは揃ったかな」


『最後にガチャ回して欲しい〜』


『ガチャまわそう!』


【ゆいぴょんさんが500ルクス課金しました】


【まさひーさんが500ルクス課金しました】


「それじゃ、みんなの期待に応えて最後に一度、ガチャをあずみちゃんに回してもらおうと思います!」


 アリスはあずみを手招きして、自販機の前に立たせる。


「そこのカテゴリからランダム購入選んで」


「はい」


 あずみに操作をさせて画面を移動していく。


「それじゃ、あずみちゃん! 記念すべき1回目のガチャ購入お願いします!」


「は、はい! お願いします」


 あずみは勢いに押されて画面をタップする。


 自販機の画面演出がされたあと、ポンッと自販機から出てきたのは黒い猫の耳をしたカチューシャだった。


『おおおおおおおお』


『こ、これは猫耳カチューシャ!』


『ラッキーじゃん! すごい』


 コメントがいっきに盛り上がる。


 猫耳カチューシャを手に持っているあずみは戸惑うばかりだ。


「すごいよ! あずみちゃん。これ、買うと高いんだよ! すごい!」


 珍しくアリスもテンションを上げている。


 価値がよくわかっていないあずみは戸惑うばかりだ。


「つけて、つけて」


「は、はい」


 アリスのテンションに押されてあずみは猫耳カチューチャを装着する。


『猫耳JK!!!!!』


『かわいい〜』


『黒髪にあうね〜』


「あ、ありがとうございます」


 コメントでの盛り上がりにあずみは頬を赤くして礼を言った。


【チャンネル登録されました】


【まさひーさんが3000ルクス課金しました】


 と、あずみのマスコット赤い魚の【ハロウィン】が投げ銭の報告をする。


「まさひーさん! あずみちゃんのチャンネル登録してくれたの? 優しい〜。お礼、お礼言わなきゃ」


「まさひーさん。ありがとうございます!」


『頑張ってね〜』


「頑張ります!」


「あずみちゃんのチャンネル登録者ができたところで、この配信は終わりにしまーす」


 アリスはマーチに向かってポーズを決める。


「いつもの時間。夜8時に僕と新人あずみちゃんで紫紺の洞窟探索配信やりまーす。よろしくね」


「よろしくお願いします」


 とあずみもぺこんと頭を下げた。


『楽しみ〜』


『それじゃ、夜もきます〜』


 お別れのコメントにアリスが返信をしつつ、あずみのアバター決め配信は終了した。


 突然の配信だったにしてはまずまずの成功と言っていいだろう。


「ふぅ」


「あ、あのありがとうございました」


「まぁ、まずまずの出来だったんじゃない? 投げ銭もそこそこもらえたし」


「はい。いろいろ購入していただいてありがとうございます」


「配信の前にもいったけど、貸すだけだよ。合計で、75000ルクスかな」


「はい、返せるように頑張ります。それで、あの」


「うん? なに?」


「配信の途中で、投げ銭をもらったみたいなんですけど、どうしたらいいのかなって」


「ああ、まさひーさんの? それはあずみちゃんの稼ぎだからあずみちゃんが使うといいよ」


「そ、そうなんですね。ありがとうございます」


「多分に、制服効果だけど投げ銭は投げ銭だからね。これが配信者の収入だよ。まずは第一歩だね」


 あずみの顔はとてもうれしそうだった。





***   ***




読んでくださり、ありがとうございます!


面白かった! 楽しかった! 続きが気になる! という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しく思います

ランキングに反映され、更新へのモチベーションになります

よろしくお願いします



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る