新ヒロインが推しを狙っています~なので根性を叩きのめしてやりました
明石 莉々
聖女編
第1話 大好きな世界に転生させてくれて、本当にありがとうございます
見慣れた庭園。
ここは「彼」と私しかいない。
目の前の「彼」はいつもの余裕ぶった顔など一切見せずに。
(推しの照れ顔、世界の宝…)
それがまた新たな魅力に感じてしまう。
「なあ、信じられるか?この俺が君に本気になったようだ
君の笑顔が見たい、ひとり占めしたいって
…そう、思っている。
らしくないが、な」
(推しいいいいい!このセリフとその表情はもう反則というかなんというか!けしからん、もっとお願いしますう)
「君のそばにいたい。
君を…愛している」
「彼」は語る。愛の言葉を。
背景はハートの点描がきらめき、彼の胸あたりに文字盤が見える。
そこには今のセリフがそっくりそのまま表示されていた。
(……)
今日も推しはかっこいい。好き。一生応援します。
でも。
推しのその愛の言葉。
その言葉を言われるのって「私」だったっけ?
いやそもそも推しは「私」を「君」って呼んでたっけ。「お前」じゃなかった?
(いやそれがさ、ほかの人と私のライン引きだからうれしいんだけどさ)
「受け取ってくれ」
私は考えを巡らせているが、推しはそんな様子を気にせずに小箱を渡す。
-これって。
そっと開けると中身は彼の瞳、スカイブルー色のイヤリング。
(違う)
「私」が推しからもらうのはブルートパーズの指輪。
これは
このゲームは
「私」相手じゃない。
あれ
そういえば…?
「『とわきら』続編発表」
「今度の主役は…」
「新攻略キャラも登場」
現実味を帯びた悪夢から
「私」は目を覚ました。
◇◇◇
私はレア・アベラール
腰にかかるくらいのアッシュブラウンの長い髪、瞳は菫色。
ゲーム「永久の煌き」通称「とわきら」の
この世界、エテルネルの女王である。
そして私は転生者であり、このゲームのオタクなのだ。
よりによってとわきらの世界に転生してもらえるとは。
ありがとうございます。ありがとうございます。
このゲームの良さを語りつくしたら、何日あっても足りないくらい。私はとわきらを愛している。
物心ついたときから、とわきらの世界に転生したことに気づいた私はとてもうれしかった。
あそこで魔法を勉強して、あれでただひたすらにこのゲームの世界を堪能させてもらった。魔法の鍛錬、選抜試験、ストーリーを追体験したいがためにレア・アベラールとして、地道に努力を重ねた。
そして、ゲームの至上エンディングである女王へと即位したのだ。
ゲームのその後を楽しめるし(女王としての仕事だらけだけどね)キャラクターをじかに感じられる。
ハッピーエンド♡と思っていたのだが、
先ほどの夢で思い出したのだ。
「とわきら」には続編があるということを。
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