24 モテはするけど②
過去、気持ちスキンシップが過剰だった傍付きが容赦なく解雇されていった理由を何となく察した。
あれもあれで当初は別に悪くない気持ちでいたが、確かに寝ている隙にベッドに忍び込まれたり、拘束されて顔に跨られたりと中々怖い目にも遭った。
他にもセクハラの多種多様さにかけては枚挙に
恐らくはセクハラに限っては判例を読むに、その延長として人類の課題である繁殖にこぎつけることも稀にあるからと大目に見られている節がある。
まぁ男性が極端に少ないことは一旦棚に上げるとして、男性の扱いも大事に囲われるか肉バイブ扱いされるかの両極端が一般的で土台おかしい。
待遇改善を叫ぼうにも、その絶対数の少なさも相まって発言権などないに等しく、希少ではあるが何ら権力を持たないのだ。
ただ、世界共通の貴重な共有財産である男性に対するセクハラを除くあらゆる加害は徹底的に処断される。
例えば現行法では男性を殺めた者は故意過失を問わず、上下三代遡って家系図上の一族郎党(男は除く)皆殺しの上晒し首である。
逆に言えばセクハラに限っては際限がないので、割とやりたい放題というかヤリたいことヤったもん勝ちみたいな雰囲気すらある。 飢えた女は性欲に駆られてここまで積極的になるのかと本気で驚いたものだ。
もちろん全ての女性が野蛮なのではないと思うが、聞けば聞くほど、調べれば調べるほど女性は慢性的に飢えており、男性に向ける強烈な劣情はもはや普遍的なものである。
「男に興味ありませんよ~」の
そんな環境ゆえ、確かにモテるに苦労はしなかった。 全面的にではないが、全体的にぼんやり悪くない気持ちではいた。
が、もう一つ問題があった。 モテるがままに応えていれば僕が淫乱扱いされかねないのだ。
男性は女性のセクハラに辟易しており、喜んで応える者など狂人でもなければほぼいない。
今や稀ではあるが、真に愛情を育んで結ばれ、その貞操をただ一人の伴侶に捧げる者もいるにはいる。 が、基本的に男性の行き着く先は一夫多妻とは名ばかりの搾精肉バイブであり、喜んで積極的に女性と、それも不特定多数と関係を持ちたがる者など気狂いの
男を抱きたいと常々豪語しておきながら、男前にそれに応えようとするとそれはそれで引かれるのだ。 こんな理不尽な話があるだろうか。
メイドにこっそり訊いてみたことがある。
「男の人が女の人を求めるのはおかしいことなの?」
「一般的ではありませんね。 それはそれで萌えますが、私個人の好みで言えば、抵抗された方が
ド変態じゃねぇか。
どの口で引いてんだこのド淫乱どもは。
僕とて心置きなくモテたい気持ちはやまやまだが、僕が安易に不特定多数の女性と関係を持てば「ディアノベルク家の
加えてこの世界の女は相当に飢えており、その恐ろしさを垣間見た上ではやはり迂闊に誰かと肉体関係を持つ気にはなれなかった。
せっかくモテるのにな……………………僕は散々悩んだ末、当面は身持ち堅く生きようと枕を濡らしながら決意した。
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