第41話

重い更年期障害の症状と、薄毛による容姿の変化に散々苦しみながらも、手術後、5年が経った。


更年期の症状は相変わらずQOLを下げているが、嬉しいことに、薄毛についてはかなり改善され、悩みから解放され始めていた。


それと並行して、多分ホルモンのせいだと思うが、体毛はどんどん薄くなっていった。

それはそれで、ちょっとラッキーなことなのだが、頭髪まで薄くなるのは御免なので、このタイミングで増毛ケアをしていることは、とても大切なことだったかもしれない。


季節が変わり、夏を迎える頃には、またホットフラッシュのせいで上手く睡眠が取れなくなった。

入眠剤ルネスタを服用して、最低でも4時間の睡眠を確保する。


寝ても寝ても寝足りないから、まだとろとろと眠りを貪っていようと眠り続けていた日々って、どれくらい前のことだったろう?

どんな感じだったっけ。


今は、やっと眠気がやってきて、交感神経が副交感神経に変わる時、ホットフラッシュが起こり、せっかくの眠気が吹き飛ぶことの繰り返しだ。


何度となく「眠気がくると、ホットフラッシュで眠気を消される」を繰り返して、夜が明ける。

体が疲れて、眠気もあるのに、眠りに落ちることのできない苦痛。

この苦痛は、凄まじい。


凄まじいのだ。


そのループから解放してくれる、ルネスタ。

救いの神、ルネスタ。

ありがとう、ルネスタ。


毎晩苦しむくらいなら、薬を常用するという選択はアリだ。

きちんと、薬に頼ることも必要なのだ。


そんな風に、毎日、自分なりに折り合いをつけながら過ごしている中、小林麻央さんの訃報がTVから流れてきた。

驚きとともに、心の中で合掌をした。


しかし、その後の、彼女を神聖化するマスコミの報道に、辟易した。

ブログの一文一文を紹介し、まるで、マリア様の如くの持ち上げ方だ。

本当に、辟易した。


そして、マスコミが冷静に検証しなかった件。

速やかに標準治療を受けることを選ばず、民間治療を試していた1年間。

それを、どう捉えるのかは人それぞれだ。

しかし、マスコミは、勝手に美しい物語を創作し、垂れ流してばかりだった。


自分は、がんに向き合う時、今の標準治療を超える方法なんて無い、と思っている。

特別な人だけがアクセスできる、秘密の魔法や奇跡なんて、無いのだ。

自分は、乳がんだと知った時、乳房を失うことの悲しみと恐怖を感じた。

できれば、失いたくない。

でも、命の方を選びたいから、乳房を諦めた。

その決断は、がんの進行より早い方が良いのだ。

だからこそ、再建という選択肢も重要になるのだと、感じている。

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