第39話

術後2年が経ち、エコーの検査で「再発なし」の結果が出て、ホッとする。

ちなみに、検査方法は、まだ負担のかかるマンモグラフィーはせず、エコーのみ。


これで、ホルモン剤注射の治療は終了となった。

タモキシフェンは、引き続き服用するので、この注射(ニュープリン)が終了になることで、どんな変化があるのか、医師に確認してみた。


その返答は、「個人差があるのでなんとも言えないが、生理はまたあるかもしれないし、ないかもしれない。また、量も多かったり、少なかったりするかもしれない」というものだった。


まぁ、要するに、人それぞれということか。

そんなものなのだと、心づもりだけはしておこうと思った。


引き続き、眠剤と更年期症状のための漢方を処方してもらった。

漢方では、残念ながらホットフラッシュの改善が見られていないので、中止の時期を探ってみようかなと思案する。


真冬の今でも、ホットフラッシュが起きると、暑くてTシャツ一枚になりたいし、ホットフラッシュが治ると、寒くて羽織るものが必要になる。

カーディガンを脱いだり着たり、大忙し。

冬なのに、暑さ対策のために、ハイネックやタートルネックの服なんて、もう全く着なくなった。


一方で、嬉しいことに、手術した胸やリンパの部分の痛みは消えていた。

術後の診察で、ちょっと高飛車な医師から聞いた、「痛みが消えるのに2年くらいかかるかも」というアドバイスは、的確だった。


この年の秋には、定期的に受けていた婦人科検診にオプションをつけて、卵巣癌検査も受けた。

結果、問題は無く、一安心。


これから、乳がんに関連して発病しやすい病気については、自分で専門の病院を探して、検診を受けなくてはいけない。

大腸がんも、気になるところだ。

当たり前だが、乳がんを治療してくれるところは、乳がんしか診ない。

だからこそ、自分の体をモニターし、早期発見に努めなくてはいけないのだ。


大切な家族と、大切な時間を過ごすために、なるべく健康でいたい。


なのに、気持ちはどこか固くなったままで、ずっと過ごしていた。

言葉遣いもキツく刺々しくなり、人を寄せ付けない雰囲気を漂わせて、今までの自分とは違う人になっていた。

いろんなものが、許せなくなっていた。

これが、更年期によるイライラなのか。


大切な家族に、緊張を強いるような存在の人間になっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る