堕天使を餌付けする方法
編端みどり
唐揚げ弁当最強
「お腹すいたんです……」
男の目の前で行き倒れているのは、背中に真っ白な羽をもつ不思議な少女でした。
「これ、食うか?」
男が夕食用に買った唐揚げ弁当を差し出すと、彼女のお腹が可愛らしい悲鳴をあげます。
「……これ、人間の……食べていいんですか?」
「ああ、そこのベンチで食うか」
今は深夜。派手なコスプレをしている少女を奇怪な目で見る人間は目の前の男だけです。
「ありがとうございます! ほんと、お腹すいてて」
「全部食っていいぞ」
「嬉しいです! これ、めちゃくちゃおいしいです。あ、あの。これも良いですか?」
「いいぞ」
コーラの缶をかじろうとする少女を奇怪な目で見ながら、男は缶を開けてあげました。
「いただきまぁす! うわぁ、美味しい!」
コーラを飲むと、少女の顔が真っ赤に染まりました。
「えへへ、こんな美味しいの初めてですう」
少女の背中にある羽が、光を放って消滅しました。
戸惑う男を無視して、少女はあっけらかんと笑います。
「お、おい。羽が……」
「あー……やっぱりクビになっちゃいましたかぁ。しょうがないですよねー、いつも失敗してる駄目天使でしたから」
「は? 天使……?」
「さぁて、美味しいものも頂きましたしお家に……あ、ああああ!!!!」
「どうした?」
「羽、なくなっちゃった……お家に帰れません……」
しょんぼりとしている少女を無視できず、男は少女を保護しました。
少女を取り返そうと羽のある男たちが次々と現れましたが、少女は男から離れようとしませんでした。
そのうち情が出て、男は少女が人間として暮らすために様々なサポートを行いました。
少女は人として暮らすようになりました。
サラリーマンの男と、謎の自称天使の少女。この二人は十年後に結婚します。
堕天使を餌付けする方法 編端みどり @Midori-novel
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