第88話 さてお次は?
「ピザたべたい。」
唐突にピザが食べたくなったリンです。皆さん急にピザ食べたくなりません?ジャンクフード食べてぇーってなりません?私はなります。それが今。
「ピザ?お昼グラタン食べたのにまだお腹減ってるの?」
「ううん、なんか急に食べたくなったの。」
隣に座って紅茶を飲んでたアルダさんに苦笑いされた。言葉もだいぶ敬語なしで喋れるようになった今日この頃、唐突に食べたい衝動にかられて何かを作る事が多くて、たびたびフランクさんを困らせてます。楽しくて止められないけど。
「あっ、じゃあ庭にピザ窯作って今日の夜は外で食べようか。リンちゃんとアルダがいれば軽く作れるんじゃない?ピザ窯」
フランクさんがとんでもない事を言い始めたけど、楽しそうだからそれもいいかもしれない。
「お肉も焼く?」
「それもいいねぇ。僕とレイでピザ生地と食材の準備するから、2人でピザ窯作ってきてよ。あ、出るついでにリューリーくんに声かけてここに呼んでもらえる?リンちゃんの魔法見られるわけにいかないからね。ここで手伝っもらうよ。」
「はーい。アルダさんもそれでいい?」
「うん、いいよ。楽しみだね。」
「クッキー持って行っていいからね。腹減り体質が集まってるから今日のおやつは多めに準備してあるんだ。」
言われて気づいたけど、レイさんもアルダさんも私も、魔法を使うとお腹が減る体質の持ち主。思わずみんなで笑っちゃった。ぱぱ的存在のフランクさんさんの安心感。
「じゃあ行ってきます!」
「はーい、いってらっしゃい」
〈ディア行こう!〉
〈あぁ。嬉しそうだな?〉
〈みんな一緒にお外で食べるの久しぶりだから、すごく楽しみ!それにピザも楽しみ!ディアも気に入ってくれるといいなー〉
〈楽しみにしておこう。〉
リューリーさんに声をかけて、アルダさんと外に出てたらどんな形にするのがいいか相談。下で火を起こして上で焼く二段式の窯を作りたいんだけど、どうするのがいいか分からないからとりあえず作ってみる。
「こんな感じかな?」
「んー。ちゃんと空気通さないと燃えないから、穴があるといいかも。」
「おっけー、後ろに穴あけて入口は少し狭くしたらいいよね。上の段の奥にも炭置けばすぐ焼けそうだね。」
「それいい!じゃあわたしはこれを硬くして火に負けないようにするね。」
「よろしく。僕はこれをあと5個は作るか。」
「はーい、がんばって!」
2人で手分けして作っていく。私は人が魔法で作った物に干渉するのが得意だから、それを利用してアルダさんが作った窯を固めて耐熱レンガのようにしていく。
6個すべて終わったら、一旦休憩。木陰に移動したらディアにお水を出して、私とアルダさんは果実水とソフトクッキーでおやつタイム。
「これ昨日カルダの口に突っ込んだやつ?」
「うん、そうだよ。ソフトクッキー。」
「サクサクのと違ってこれも美味しいね。」
「ほんと?よかった。」
〈ディアも食べてみる?〉
〈少しもらおうか。〉
珍しく興味を示したディアのお口にクッキー5枚を重ねて突っ込む。
〈美味いな。〉
〈ほんと?まだあるよ、食べる?〉
〈リンがお食べ。〉
〈ふふっ欲しかったら言ってね。〉
大きな鼻でグリグリされるのも慣れた。何かあるとお腹やほっぺをつついたりグリグリするディアさん。可愛いからもふもふしとく。
のんびりしてたらレイさんがカバンを2つ持って登場。
「火起こしは俺の担当らしい。」
フランクさんに言われて薪を持って来たレイさんはちょっと不服そう。くまさんが腰に手を当ててフンッて胸張って立ってるみたいでなんか可愛らしい。
「僕もやるよ。リンちゃんは落ち着いたら風でサポートしてくれる?」
「うん、わかった。」
「しばらくは休んどけ。」
レイさんが火を起こして、アルダさんが風で火を強める。それを全部の窯でやりつつ、お肉を焼くグリル?を石や土魔法で作って薪と一緒に持ってきてもらった網を置いてセッティング。そこにも火を起こして土魔法でテーブルとイスを出したらバーベキュー会場の完成です。
十分休んだので、アルダさんと一緒にピザ窯とグリルの薪に風を吹かせる役をする。バチバチといい音がしてて落ち着く。ちょっと暑いけど。
ふいごみたいにぴゅーぴゅー風を吹き込んで、窯がいい感じになったタイミングでフランクさんとリューリーさんがお庭に来た。肩にカバンを2つずつかけて、手にもなにやらいっぱい持ってる。
「いやー、微妙に余ってた肉たち集めたらすごい量になっちゃってさ。リューリー君にも運ぶの手伝ってもらっちゃったよ。」
とってもいい笑顔のフランクさん。全員分はないけどひき肉にするにはもったいないお肉とか、皆が森に入って獲ってきた魔物のお肉とか、よくわからないお肉とか…?とにかくいっぱい。
楽して整理が出来るのが嬉しいらしいフランクさんはハイテンション。机でピザの仕上げをしながら鼻歌うたってる。珍しい光景です。
「今日は外で食うのか?珍しいな」
「あっおかえり。たまにはいいよね」
「おかえりなさい。」
「ただいまー腹減ったー」
「ただいま戻りました。パーティ会場みたいですね?」
外出してたメンバーとジゼルさんが戻ってきた。メンバーは私が考えついたんだろうなぁと何となく察しているらしく、まぁリンだしって感じでもう楽しむ雰囲気。
ジゼルさんはフリーズしたあと、リューリーさんの元に行ってどうなってるのか事情聴取をはじめた。どうも何も見たまんまだから答えようのないリューリーさんに少しイラ立ってるみたいだから救出。
リューリーさんにはピザのトッピングのお手伝いをしてもらいつつ、テーブルにお肉を並べていく。ふと思い立ってレイさん召喚。
キッチンに連れて行って、保管箱に大きめのボウルを入れたらそれをディアの近くに運んでもらう。ディアに魔法で氷をいっぱい出してもらったら、テーブルにセット。これでキンキンに冷えたお酒が飲める。果実水もね!お礼にディアにはお肉をてんこ盛りにすると約束。
「ありがとうレイさん。」
「いや、このくらいなんとも無いが。このためだけにディアに氷出させたのか。」
「だって火が近いし暑いでしょ?」
「まぁな。」
ふっと笑い頭をぽふぽふされた。ディアは優しいからこのくらいじゃ怒らないもんね。
さぁ、準備が整いました。
バーベキューのスタートです!
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