第89話 BBQとピザ

「みんな集まったみたいだしピザ焼き始めるよ。肉好きに焼いてねー。リンちゃんはソースの説明よろしく!」


ハイテンションなフランクさんに何やら任されたらしいリンです。こんばんは。


手元にあるソースにはすべてタグが付いてる。理由は簡単、私が思いついて作ったからです。軽く10個くらいある瓶は私が犯人なので大人しく説明します。


「お肉につけるソースの紹介でーす。タグが付いてるので分からなかったらそれ見てください、そしてタグを外さないでください。」

そう言うとみんな頷いてくれるので、説明を開始。


「まず昨日食べたやつ4個は省略。ここから赤ワインベースのが2つ、ショユで味付けたやつと、アポを入れたフルーティーなやつ。ここがバジル系2つで、トマをベースにしたサッパリしたやつと、いろんなハーブ混ぜた香りの強いやつ。あとはこれがハーブ塩にこっちはドロっとした辛めのミソソース。計10種類となっておりまーす!」


「こんなにあるのか。」

「ちょくちょく作ってたらこうなりました。わたしも今はじめて全部把握しました。」


「全部じゃないよー!」

「…全部じゃないらしいでーす。」


「「「「ふっっ」」」」

カルダさんが若干呆れてたからそれに答えたんだけど、テンション高いフランクさんにもっとあると言われた。そしてみんな笑ってます。もういいよ!好き勝手作りすぎて分かんないんだよ!


「いいからお好きに食いやがれっ!」


ヤケクソに叫んだ私を次から次に撫でていく大人たち。みーんな笑ってるけどね。くそぅ。


「ディアの分の肉出しとくから、焼けた肉持って一緒に食べてな。」

「ありがとう。わたし何もしなくていいの?」


「いいよいいよ!ゆっくり食べてて」

「テーブルの保管箱に氷入ってるから、お酒飲むのに使って。火の近くにいたら暑いだろうから。」

「わかった、みんなに伝えるね。」


フランクさんがディアに生肉をいっぱいと、すでに焼いてあるお肉をさらにいっぱい出してくれた。ハーブソルトでちょっとだけ味付けられてるらしく、そのままでガツガツ食べてる。


大人たちは交代しながら焼いて食べて楽しんでる。お酒もあるし好みのソースを味わったり、混ぜて別のソースを作ってみたり。


「ほれ、持ってけ。熱いから気をつけろよ」

「ちゃんと食え」

「ありがとう!」

ガイトさんがお皿にデーンとお肉を盛ってくれた。レイさんが焼けた野菜と生の葉野菜を置いてくれたので、テーブルでソースをかけてからディアの元に戻る。一緒に座って食べます。


〈気になるタレある?持ってくるよ〉

〈いらないよ、このままで十分美味しい。〉

〈よかった。〉


1番多いのはグリーンヴァイパーのお肉。名前の通り緑色の毒蛇で平均2メートルくらいの、ヘビ型の魔物の中では大きい厄介なやつ。紅嵐のみんなが森に入って獲ってきたお肉なのでプライスレス。味はそこまでなくて、鶏むね肉と鶏もも肉の間ぐらいのジューシー感。お肉に味が無い分ソースで楽しめる。


「ピザ焼けたよーみんな取りに来てー!」

〈ピザできたって、ディアも食べるよね?もらってくるね!〉


フランクさんから号令がかかったのでテーブルに行く。焼き立てのピザが6枚並んできれいに切られててとっても美味しそう。


「こっちがトマベースの野菜ピザで、こっちがバジルベースの肉ピザね。次はホワイトソースのチーズピザ作るから食べられるだけ持って行って。」

「ありがとう!」


日本の宅配ピザのLサイズくらいはありそう。自分に1枚ずつとディアに2枚ずつもらったら戻ります。


〈こっちが野菜、こっちがお肉のピザだって。次はチーズたっぷりの焼くらしいよ。〉

〈美味そうだ。〉


チーズがとろり、ハフハフと噛めば野菜の甘みが広がってとっても美味しい。ディアには一口でぺろっと食べれちゃう大きさだったみたいだけど。


〈美味しいねー〉

〈そうだな。〉


生地はそこまで分厚いわけでもなくパリッともちっとしてて、耳だけ分厚くなっててとっても美味しい。食べたいって言った私ナイス。


〈かなり熱いけど大丈夫?〉

〈口に魔力集めればなんてこと無い。〉


〈そこまでして食べなくても…〉

〈熱いほうが美味い。〉

〈それならいいのかな…?〉


猫舌が気になったけど、気にするだけ無駄みたいです。美味しそうに食べてるからいいか。


しばらくするとチーズピザも焼けたと呼ばれて貰いに行く。いろんな種類のチーズが乗ってて、はちみつをかけて食べたら絶品だった。チーズにはちみつって合うよね。


その後はお肉とピザをおかわしりていっぱい食べて、大満足の夜ご飯だった。ピザ窯は温度も上がりやすくて高温で焼けるから、何個か残しておくことにしたらしい。邪魔になると思ったけど、どうにかしてカルダさんが移動したみたい。さすが天才やることがぶっ飛んでる。


いっぱい食べて満腹のリンはディアに埋もれながらウトウト。それを微笑ましく見守る保護者と、怪しい者を見るような目つきで睨んでくるジゼル。それに気づいたディアは少しだけ殺気を飛ばして威嚇するのでした。


少しして動けるようになったら、シャワーを浴びて寝る準備。今日はナリアルさんと寝る日なのでお部屋にお邪魔します。ディアは大きいまま入口付近で、私はナリアルさんの大きめなベッドで一緒にねます。


あれこれ作って楽しいけど、ちょっと窮屈に感じてしまう。早く襲うなりなんなりして解決しないかなーと良くないことを考えてしまうリンちゃん。


もう少しお家生活は続きそうです。

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