第7話

この間、そうめんを食べた。夏バテになっても麺類は何とか食べられる。

猛暑の時は肉体的に涼をとるのは生命維持のために当たり前だが、人間というのは欲張りなモノで心理的にも涼を求めたくなる。


気分的に涼しくなる簡単な方法はやはり怪談だと思う。

怪談に限らず物語というモノは恐ろしい威力を持っており幼少の頃、怪談の話を知ってから天井の模様が鬼に見えたり些細な壁のシミが世にも恐ろしく見えた事がある。


部屋を整理していたら革張りの日記帳が出て来た。中を見てみると、白紙、白紙、白紙。自分は全く「自分自身」の物語が存在しない事に驚いた。


この真っ白な日記帳も自分の筆無精のせいでは無く、妖怪のイタズラのせいにしたいと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る