『次の球種は?』

吹井賢(ふくいけん)



 ―――その時。

 つまりは、小学校での最後の試合の後、氷室ひむろは言った。


『いい勝負だった。楽しかったぜ』


 氷室は、真っ直ぐに笠松かさまつを見る。

 名前の通り、彗星のように熱く煌めく瞳で。


『中学でも野球、続けるんだろ? なあ、笠松。俺は―――』


 その後に続く言葉を、笠松十四郎じゅうしろうは覚えていない。

 何故ならば―――。



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