姉の物を何でも欲しがる妹に記憶と経験を奪わせた結果

ゲーム初心者が不遇職〘刺身の上にタンポポ乗せ師〙でVRMMO始めました

　ひょんなことから手に入れたVRデバイス本体とソフトで、話題の新作VRMMORPG『Doom, Fallen Links / Online』を始めた女子高校生、蝕陽 菊花。

　ランダムキャラメイクで〘刺身の上にタンポポ乗せ師〙という隠し職業を取得した彼女は、まずもって職名の意味がわからず、チュートリアルの途中で一旦ログアウトをおこなった。

　両親や姉も知らなかった〘刺身の上にタンポポ乗せ師〙だが、どうやら遠方に住む祖父が若い頃に、古代の文献で目にしたことがあるらしい。

　祖父宅の蔵を探って旧時代のインターネットから紙出力した文献を発見した菊花は、その職業の元となった伝承を知る。

　早速ゲームに戻った菊花は港町に拠点を移し、料理系生産職のために用意された料理人ギルドに加入。

　【料理】スキルを持たない彼女は他プレイヤーの作った〈刺身〉にタンポポを置かせて貰えるよう頼んでみたが、にべもなく断られてしまう。

　そこで彼女は仕方なく、ギルド内の調理場や飲食店の厨房へ忍び込み、他プレイヤーやNPCが〈刺身〉を作る所へ【隠密】スキルで近付き、相手の目を盗んでタンポポを置くことに。

　時が流れ、町の料理人の間で〈妖怪・タンポポ置き〉なる未確認魔物の噂が定着した頃。

　大規模アップデートがおこなわれた『DFL/O』の世界で、とある大きな事件が起こる。

　そして、一介の〘刺身の上にタンポポ乗せ師〙であった菊花もまた、その潮流へと巻き込まれてゆく。