アラフォーおっさんが最難関ダンジョンの深層で10年過ごした結果、アラフィフおっさんになった件

 地球にダンジョンが現れて10年。

 27歳でダンジョンダイブの資格を得た尾路 三郎は、37歳になっていた。


 10年前の時点でアラサーおっさんだった三郎は、当時から10代や20代前半の同業者に体力差を感じていた。

 しかし、アラフォーおっさんとなった今では、レベル上昇による体力補正すら追い付かないほど衰え始めていた。


 引退を決意した三郎は、最後の挑戦として、世界最難関と噂される《那覇ちんすこうダンジョン》への挑戦を試みる。


 しかし、ダンジョンに踏み入れた一歩目で〈テレポート〉の罠が発動。

 三郎はダンジョン深層にある、ボス部屋の前まで飛ばされてしまう。

 ボス部屋前は運良く魔物の近付かないセーフゾーンになっており、飲めば心身を最適な状態に戻す〈回復の泉〉も設置されていたため、三郎はそこを拠点に地上へ戻る方法を探すことになる。


 それから10年の月日が流れた。

 帰還の目処も立たないまま、三郎は47歳、アラフィフおっさんになっていた。

 最難関ダンジョンの深層の魔物を、単なる一般中年ダンジョン探索者の三郎がどうこうできるはずもない。

 最難関ダンジョンの深層に辿り着く者はおらず、三郎は宝箱から拾った剣で壁に意味深な壁画を刻み付け、暇を潰していた。


 それから、更に10年。

 三郎は57歳の、アラカンじいさんになっていた。

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