　突然地面に現れた魔法陣により異世界転移した機関車、C55 30。

　それが降り立ったのは、魔物の跋扈する異世界だった。

　世界を救う勇者として召喚された30は【無限石炭】と【自律走行】のスキルを得て、彼を召喚した国の騎士団を乗せて魔王討伐の旅に出ることに。

　線路のない世界で苦戦しながらも、50年近い時間をかけて魔王城まで軌道を伸ばし、どうにか魔王を討伐し、惜しまれながらも地球に帰還する。

　30が帰還した地球では、暴走した国際環境テロ組織が世界中の発電所を破壊し、大規模な電力が使えない状況になっていた。

　電車はもちろん、航空機も管制の機能停止により無期限の運休。

　ガソリン自動車と船舶以外の長距離移動手段がほぼ壊滅していた。

　JR在来線や乗入可能な私鉄を始め、日本では今も当時と同じ軌間1067mmの鉄道は少なくない。

　30はレベルアップで上昇した圧倒的なステータスと様々なスキルを駆使し、次々に長距離大量輸送をこなしてみせる。

　公式には西暦1975年に誤って解体されたことになっているC55 30が再び現れたことに、一部の鉄道オタクは驚愕する。

　が、インターネットが使えない状況下、一般の人々の間では、特にその辺りは話題にならず。

　化石燃料を盲目的に憎悪する環境テロ組織を撃退したり、元々地球にいた異能車達と輸送対決したりもしつつ、30の名は徐々に世界へと知られていく。

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