　多くの謎が科学によって解明された時代、廃刊間際のオカルト雑誌記者である砂楼院捨吉は、グルメ旅行で訪れた神戸市郊外で、武装した神戸牛の集団に遭遇する。

　人語を語る８頭身の神戸牛達の主張によれば、現在の神戸牛の直接的な祖先である種牡牛の正体が、彼らの母星から追放された犯罪者だというのだ。

　海外産の牛との混血によって絶滅しかけていた純血の和牛、その血を繋いだ名牛の正体こそが、知能低下と肉体改造の処置を受けた異星の流刑囚。

　彼らは法改正により罪なき存在となった流刑囚の末裔達を、母星に引き取るために地球に送られた、神戸牛星軍の先遣隊を自称した。

　無論、そのような話が到底信じられるはずもない。妄言どころか畜産農家への冒涜とすら言えよう。

　捨吉は歴史ある食文化を守るべく、ジャーナリストとして神戸牛星人達の横暴を世間に公開した。

　しかし記事は賛否両論を呼び、捨吉は神戸牛星人達の主張を信じる地球人によって迫害され、職を失ってしまうことに。

　神戸牛星人達の正体、そして真の目的は何なのか。

　真実を明らかにすることで現状を打開せんとし、捨吉は神戸牛星人の牛柄宇宙船へと潜入を試みる。

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