【来夏よりアニメ放送開始!】スキルで何でも来夏よりアニメ放送開始できる俺ですが、うっかり春の半ばにスキルを使ったせいで進行管理が地獄みたいです
底辺配信者の俺、炎上商法目的でモンスター愛護運動を始めたところ、アンチに「だったらお前が保護してみろ」と人食いドラゴンの巣へ投げ込まれる
底辺配信者の俺、炎上商法目的でモンスター愛護運動を始めたところ、アンチに「だったらお前が保護してみろ」と人食いドラゴンの巣へ投げ込まれる
地球にダンジョンが現れて10年。
収益化を目指すダンジョン配信者(チャンネル登録者数2桁)の円城 翔輔は、遂に真っ向勝負を諦めた。
そもそも彼はダンジョンが好きなわけでも、配信が好きなわけでもない。
何の才能もなくとも、簡単に有名人になれそうだったから、それを始めたのだ。
承認欲求を満たし、自尊心を高めるために。
「モンスター愛護運動」、翔輔はその信奉者を演じることにした。
ダンジョンを知る者は、その住民を「魔物」と呼ぶ。
「モンスター」と呼ぶのは、ダンジョンを知らないド素人の特徴である。
間引きを怠り、一度ダンジョンから溢れれば付近の都市を襲い、人間を食い尽くす怪物。
そんな魔物との共存を標榜し、ダンジョン関係者に破壊活動を伴う抗議を行う狂気の思想だ。
そもそも視聴者は冒険が好きなわけでも、未知が好きなわけでもない。
自ら死地に飛び込む狂人を、安全圏から見物するため、それを観るのだ。
自分より愚かな者を見て、自尊心を高めるために。
劣等感を抱えた大衆は、自分より愚かに見える道化を煽るために時間と金を費やす。
本物のモンスター愛護活動家は、ダンジョン産業と競合する他業種の企業は、他国の工作員は、彼の配信を支援する。
瞬く間に名を挙げた翔輔は、しかし、純真で直情的な視聴者を敵に回した。
高難度ダンジョンから溢れ、近くの山林に住み着き、数多の人を食らった〈ヒグマドラゴン〉。
配信中に暴徒の集団に襲われ、車で攫われた翔輔は、その人食いドラゴンの巣に投げ込まれた。
魔物を殺すなと言うなら、こいつを保護してみせろ。
そう吐き捨て、誘拐犯らは走り去る。
拘束を解き、自由を取り戻した翔輔は――徐ろに生配信を開始した。
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