初登校
今日から新学期。朝から一緒に行きたいと騒がしかったので仕方なく一緒に登校している。夏休みが始まった頃は二学期も、変わらず学校生活を送ることになると思ってたのに...憂鬱でため息を吐いた。
「ため息なんか吐いて、ちゃんと聞いてる?」
「ん?ああ、聞いてる聞いてる...で、なんだっけ?」
「やっぱり聞いてないじゃん!学校生活楽しみだねって言ったの!」
「あー、まあそうだな。体育祭に文化祭、行事が盛りだくさんだからな。」
「なによそれ〜。」
憂鬱に思ってたのがバレたのか、棒読みだったのがいけなかったのか、拗ねてしまった。
「なんだ、また喧嘩してんのか?」
碧と凪砂さんが居た。
「喧嘩じゃねえよ。」
「おはよー!海結ちゃん!上水流くん!」
「あっ!おはよ!鈴ちゃん!永井くん!」
凪砂さんが来たことで気分が良くなり、騒がしさが二倍になった。もう少し静かにして欲しい。因みに凪砂さんが俺を苗字で呼ぶのは、名前で呼んだ時、碧が嫉妬に狂ったからだ。あの時のことは思い出したくないほどトラウマになっている。
「あ、痴話喧嘩だったな。」
「なんでだよ!喧嘩じゃねえって言ってんだろ!しかも、なんで痴話喧嘩なんだよ。普通姉弟喧嘩だろ!」
「おおー、いいツッコミだな。」
会えば毎回こんな感じでおちょくられてる。しかも無駄に親指立ててきやがった。ムカついたので歩く速度を上げて、置いていくことにした。
「あ、おい!待てよ!」
碧のことはスルーしてひたすら前を歩く。
「翔太くん待って!」
動きを止めて海結たちを待つ。さっきの叫び声で視線が集まってて、結構恥ずかしい。中には滝ノ上高校らしき制服もあった。
「碧ののことは無視したのに、海結ちゃんとの言うことは聞くんだ。」
凪砂さんがニマニマしながら聞いてきた。別に大した理由はない。ただ、一つ理由を挙げるとするなら、
「今日は一緒に登校する約束だからな。」
「やっぱり上水流くんは面白いね。」
笑いながら言われた。よく見ると碧も笑っていた。だが、面白いという評価はよく分からない。
「え〜、毎日一緒に学校行こうよ。」
「いやだ。」
それから、四人で他愛ない会話をしながら学校に向かった。次第に校舎が近づき同じ高校の制服を着た人が増えた。それにより、海結と一緒に歩いている男として好奇の視線に晒されつつ校門をくぐった。
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