誰かの花嫁

渉澄透桜子

第1話1日目

 僕のコピーされているかのような繰り返しの日常を壊したのは君だと思う。きみがいなくなってからいうことではないが。でも君との1週間と2日をなかったことにしたくないから君と出会ったこの場所で思い出すことにするよ。



 会社からの帰り道。その日は少し残業をしてしまったため住宅街の灯りはほとんどない。それでも存在感を放っていたのはウエディングドレスを着た君だった。ゴミ捨て場にちょこんと座っている、人形かと間違えるほど綺麗で空っぽな君と出会ってしまった。ここで僕は何を間違えたか声を掛けてしまった。

「綺麗ですね、こんな所にいるとドレスが汚れてしまいますよ」

君は僕の方を見向きもしない、悲しかったなぁ。それでも僕は立て続けに

「もう夜なので僕の家に来ませんか」初対面の女性に言うことでは絶対ないがどうしても君をこのゴミ捨て場に放っておくことはいけないと思ってしまった。君の手を引き僕はアパートに向かった。

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