【歴史コメディ】劉備の嫡子 ~もし蜀漢を継ぐのが劉禅じゃなかったら後世の人はどれだけ不快感に襲われなかっただろうか~【歴史パロディ】
高坂シド
第一章 劉備、呂布の下編
第1話いきなり呂布に襲われる
俺は逃げていた。父の待つ戦場へ。
戦場へ逃げ込むとは、まるで逆のようだが、今までの平穏は急に破られた。
なんでも張飛が部下に酒を強要し、それを咎めた曹豹が返り討ちに合ったうえに逆恨みに呂布へ『いまなら徐州が取れますぞ!』と注進したらしい。
最初は呂布も自分の恩人である父を裏切るのは忍びなかったらしいが、犬未満の義理しか持ち合わせていない呂布は今こうやって
「若、落ちのびられよ!」
そう言って張飛は
まあそれは当然だ。自分の失態で国はおろか主君の妻子すら失うとあっては後味が悪い上に顔が立たないであろう。
「飛よ、落ちのびるといってもどこが安全なのだ!?父上が戦場にいる以上、ここ下邳ほど安全なところはないであろう」
「問答をしている場合ではないのですぞ、若!現にここは攻められておるのです。もっと現実を直視するところから始めないといけませんな!」
まさか張飛に論破されるとは思わなかった。
脳筋だと思っていたけれども、張飛の最終官職は車騎将軍・司隷校尉でありほとんど政治家なのだ。
おまけに娘は二人とも皇后になるし、張飛自身もある程度は分別を心得た知識人であるというのが本当のところであるかもしれない。
「母上はどうした?」
「もうすでに脱出されている頃だと思います」
そう、現実を直視しなければならない。自分は蜀漢の創設者・劉備の息子であり、史書ではここで呂布に捕らえられ殺される運命にあるらしい。
3日前までの現代人ではないのだ。
いわゆる転生というのは現代人が異世界やら仮想現実に行って、オーパーツともいえる知識やらスキルで無双するものだろう?自分は現代の知識を披露することもなく、殺されようとしている。
しかもそれが史書によって書いてはっきりと残されている。
転生するやいきなり大ピンチだ。
たった3日間の人生のために転生してきただなんて、俺は元の世界でも今の世界でも何のために生きてるんだろう?
ここを生き延びれば史書を読んだ事前知識による無双ができるかもしれないのに……
「若っ!」
張飛のその言葉と共に俺は意識を失った。
ちなみに張飛はそのあと逃げ出し、父と合流したらしい。なんなんだあいつは。そんな余裕があるなら俺を守れよ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます