錯覚
野名紅里
錯覚
石楠花が無限になるやうに願ふ
錯覚の窓を開ければ南風
涼しさよ鳥と魚の境界の
ストリートオルガン薔薇を断つあひだ
億千の蜥蜴の部屋のどこが顔
這ふ蜥蜴誰も拒めぬ永遠を
滝が滝を繰り返しをる時間かな
夏闇の中の出会ひとその握手
白黒の黒を見てゐてあげはてふ
七月のかぜ風車から来たみたい
モチーフのさいころ向日葵が揺れる
階段の上下が君に無い真夏
絆とは一片である青胡桃
熊蟬が鳴き数学になつてしまふ
冷房と水晶越しの自画像と
風鈴が狂はないから狂ひさう
蜘蛛の巣が狂気となるまでの広さ
はんざきの目の突然に見えてくる
絵の鳥と鳥が出会へば雲の峰
夜のプールに騙されたくて飛び込みぬ
錯覚 野名紅里 @nonaakari0128
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます