第42話

「ずっと、貴方に会いたかったです」


「何のこと?」


彼も知らない様子だった。


「私達、お姉ちゃんも、あなたに一度助けて貰ってます」


「・・・??」


「・・・えっ?」


私も彼も覚えてない様子だった。


「彼は車に轢かれそうになった私達を庇ってくれました」


「・・・っ」

あった、忘れる訳もない。


「覚えてないですが、優さん」


教えてない、妹には彼の名前は教えてない


「えっと、確かに車から庇った姉妹は居たけど」


「・・・っ、」


そうだ、私は飛ばされて、そのショックで気絶しちゃって


「その顔、やっぱりお姉ちゃんは気付いてなかったんですね。ずっと気絶してしましたし、病院に居ましたし、助けてくれた人の顔も見てなかったですから」


確かにその通りで、私もお礼をしたくて名前を書いたけど、責任を持って欲しくないと恩人からの頼みだったから教えて貰ってなかったんだ


「優さんは私達を庇ってくれましたけど、お陰で大怪我をしてしまって、本当にごめんなさい、そしてあの時はありがとうございます」


「いや、いいよ。それより、二人がそうだったんだ。無事でよかったね。」

思わず私はカッコいいと思ってしまった。


ーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る