第10話

あー、焦ってる。焦ってる。あんな、きったないストラップ一つにあんなふうに足掻いて、苦しむ姿は最高に気持ちいいわ。

 私の下の人間は沢山いて、下の人間を見るのは凄く気持ちいいけど、下の下の下を見るのは凄く気持ちいい。


 ケータイが鳴る。


あっ、早速呼ばれた。


流石私ィ


もう、だいぶ満足したから、あとは明日の学校を楽しもう!アイツが意外とこまめな性格なら、誰が無くしたか気付いて、面白い事になるかもしれない。


ーーーーーー

 元カノ視点


私達は学校が閉まって帰る事になった。


「優・・・その」


「・・・今日はありがとう。一緒に探してくれて」

優はとても悲しい顔をするが、笑顔を振り絞る、無理矢理感謝を示すような顔をして居る。


「・・・うん」


「おそらく、きっと誰かが隠したんだと思う。明日からはもう気にしなくていいよ」


優は、妹さんと母親が亡くなって、最初の頃は凄く尖っていたけど、何も話してないからもあるけど、感謝をする程優しい・・・いや元から優はこうだった。


「私は誰か隠したかクラスに聞いてみるよ」


「いいよ。」


「でも」


「どうせ、名乗る奴は居ないよ」


「・・・それは」

私が知って居る限りではクラスではもう隠すような人は居ない。優は知らないだろうけど、もうみんな反省して、優のことは大切にしていたはずだ。つまり、この誰かがすぐに優のためにチクる(裏切る)可能性が高い中でわざわざ、本当のことを話すやつなんて


居た、


居るじゃないか、あの転校生。


「そうだね。優ごめんね。」


「それは俺のセリフだよ。やってくれようとしたのに気持ちを無碍にするようなことを言って」


「うんうん、とりあえずもし見つかったら、私言うね」


「ありがとう」


もう、私はこれ以上優の傷つく顔を見たく無い。

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