大きな檻を作った鍛冶屋

 ある日、鍛冶屋は思いました。人間はなんて愚かで醜いんだろう。

 そんな野蛮で残酷な動物を野放しにしてはおけないと、鍛冶屋は檻を作ることしました。

 とんてんかんとん、とてかんとん。

 大きな檻を作ろうよ、作ろうよったら作ろうよ。

 果てなく広がるこの世界、すっぽりひとつおさまるくらい。

 丈夫な檻を作ろうよ、作ろうよったら作ろうよ。

 山を飲みこむ大男、百人来ても壊れなぬほどに。

 とんてんかんとん、とてかんとん。

 とてちてとんかん、てんとんかん。

 檻ができあがるとすぐに、今度は世界中の人々を鍛冶屋はその中に閉じこめました。それから仕事がすっかりすんでしまうと、角砂糖を七つ入れたお茶を飲みました。

 檻の中では人間たちがあいもかわらず楽しそうに暮らしています。檻の外からそれを眺めて、鍛冶屋は思いました。人間はなんて愚かで愛おしいんだろう。

 てんかとかんちん、てんちんとかん。

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