悪役令嬢に憧れて
@YUKALI
第1話
「……さま。……お客様!」
通学電車の駅員さんに声をかけられ目を覚ました。
「お客様、終点です。」
やばい、寝過ごした……。
起こしてくれた駅員さんにお礼を言い、電車を降りた。私の降りる駅は都会の大きな駅のはずだが、ド田舎まで来てしまった。
「遅刻確定……。てかここどこ。」
私は理系大学生として日々勉強や研究に勤しんでいる勤勉な女子大生、桜井由衣。毎日の疲れが溜まってどうやら寝過ごしたらしい。遅刻確定でやる気を失い一先ず駅から出た。
「毎日うるさい都会で頑張ってたけど、たまにはのんびりサボってもいいよね。」
せっかく来た田舎なので散歩をする事にした。古びた本屋が見えてきた。中に入ると、紙とインクの匂いがして心が落ち着く。
「いらっしゃいませ。ん、あなた見ない顔ですね。どちらからいらしたの。」
店主のお上品なお婆さんが声をかけてくれた。
「本当は大学に行かなくちゃいけないのですが寝過ごしてしまって……。今日は休むことにしました。疲れてるみたい。」
「おや、それは大変でしたね。この辺りは静かでいい所だからのんびりして行かれては?」
「はい、是非そうさせていただきます。」
お婆さんと話をしながら本を眺めてると、ある本に目がとまった。
「ああ、その本は私の孫が置いて欲しいと頼んできたので置いてみたんですが。最近はそういうのが流行っているのかしら。」
私が手に取ったのは、事故で亡くなったOLが貴族に異世界転生し、悪役令嬢として生きるノベライズ。
「流行っているかは分かりませんが…。私は好きです。」
その本をお婆さんの所へ持って行き、お金を払って店を出た。
「またいらしてね。」
お婆さんに会釈し本屋を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます