他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

プロローグ

俺の名前はグレイ・ズー。


自分で言うのも何だが、パッとしないどこにでもいる冴えない平民である。


諸事情により、つらい過去から逃れるために故郷を飛び出し、魔法学園に通う4年生だ。


魔法学園に通っていながら魔法の力は下の下。


そして勉学の方も学費を稼ぐために時間が取れず、下から数えた方が早い。


という、どうしようもない学生生活を送っていた。


しかし、ある日たまたまこの国の三大貴族の御令嬢であるアリシア・エト・バルムと出会って俺の人生に転機が訪れる。


彼女を視た瞬間、俺の視界にとんでもない言葉が現れたのだ。



『アリシア・エト・バルム。15歳8ヶ月。寿519



実は俺には二度と人には言わないと固く決めていた特別な能力があった。


それは、『他人の寿命が視える』こと。


この自分でも忌み嫌う能力の所為で故郷では散々な目に合った。


いくら三大貴族だからと言っても話したことも無い赤の他人だ。関わる必要はない。


だが、


「・・・知ったからには黙っていられないよな」


俺は自分の出来ることを総動員してアリシア嬢に注意を促す。


彼女はこんな俺の言葉を信じてくれた上で、


「教えてくださりありがとうございました。残り時間を精一杯生きてみます」


御礼を言ってくる。


「・・・あんたは何でそう普通な顔をしていられるんだ!?」


俺は思わず叫んでいた。


すると彼女は、


「・・・わたくしは誉れある3大貴族バルム家の娘です。たとえ、この後すぐに死ぬことが分かっていても取り乱したりは致しません。そして、それは死の間際だとしてもです」


と気丈に答えると立ち去っていく。


後に残された俺は、彼女を追って走り出す。


それは、気丈に振舞っていた彼女の足が微かに震えていたからだ。


俺は何故追いかけている?


自分の行動が自分で分からない。


だが、しばらくしてその答えに気が付く。


初めてだった・・・俺の能力を気味悪がらなかっただけでなく、信じてくれた人は。・・・そして何より、あんなにも話していて楽しい女性は


「理由なんてそれだけで充分だ!」


俺はアリシアを救うために走り出し、



「自分勝手に人の寿命に関与するんじゃねぇよ!!」



その元凶を倒すことに成功する。


この事件をきっかけに、俺は今まででは考えられない人生を歩んでいくことになるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る