配信回4

「初めての人もそうでない人も、来てくれてありがとうございます。レナです」


「来てくれてありがとね、アリスで~す!」


「来てくれてありがとう。ナツキです」


《万魔央の会見視たよ!》

《大変だったね、大丈夫だった?》

《大道寺の屑絶対許さん》

《まさかアリスちゃんがストーカー被害に遭っていたとは…》


「れーくんが助けてくれたから私は大丈夫だよ!でも、もうあの人の顔も見たくないかな」


「私も遠慮したいですね。流石に話を聞かない、通じない人はちょっと…」


「あいつはやばかった。存在自体が害悪」


《この三人にここまで言わしめるとは、大した奴よ》

《奴は四天王の中でも最強だったって事か》

《万魔央が居なきゃアリスちゃんがどうなってたことか…》

《くそ、仕方ない。今回の功績に免じてれーくん呼びされることを許してやるよ》


「今回の配信は、万魔央さんと北条の決闘に関する事情説明についてです」


「会見でれーくんが言ってた事とそこまで変わらないから、聞き流しても問題ないかな」


「最後に大事なお知らせがる」


《聞き流すなんてとんでもない》

《正直、万魔央の会見は内容が過激すぎてほとんど覚えてない》

《北条も大筋は認めた声明出してたな。当主直々に》

《アリスちゃんの事を想うあまり暴走したとかなんとか言ってたな》

《ガチ恋勢だった奴ですら暴走しなかったというのに》

《まさにモンスター。北条の傲慢の集大成》

《そりゃ名前が大道寺屑だからな》


「それでは経緯を説明しますね」

《なるほど。レナちゃんとの出会いでナンパしてきた奴がいる事は覚えてたけど、どんな奴かは全く覚えていなかったと》

《まあ、そんな勘違い迷惑屑の事なんて覚えていたくないわな》

《むしろ本望じゃないか?今なら顔も覚えて貰ってるだろ?》

《悪名は無名に勝るってやつか。俺なら好きな人に泣くほど拒絶されたら死にたくなるわ》

《無敵メンタルだなぁ。そこまでされても自分に自信が持てるのは素直に羨ましい》


「個人的な諍いの筈だったのですが、相手が北条を名乗り、アリスに対してしつこく絡み続け、万さんが仕方なく万魔様の名前を出したのですが、それでも引かなかった為、万魔様と北条の対立になってしまったというわけです」


《うーん、北条有罪》

《先に手を出したのは北条、名前を出したのも北条、止めなかったのも北条か》

《実家の権力をそのまま自分の力と勘違いしてる典型的なドラ息子だな。相手が俺らみたいなのには有効だが、家の権力より上の奴に同じように噛みついたらダメだろ》

《禁忌領域の奴らって、こんなのが一杯いるのかね?今までは感謝の気持ちしか持ってなかったけど幻滅したわ》


「万魔様と北条の問題になってしまったので、当事者の私たちが部外者になってしまいました」


「私としては二度と近くに来ないでくれたらそれで良かったんだけど」


「最低でも半径100M以内の接近を禁止したい」


《転校かな?》

《転校で済むなら御の字じゃね》

《本来ならそれで済む筈が、北条の命運を賭けた一大決戦になってしまったと》

《話聞かないメンタルモンスターなんだろ?万魔央が介入しなきゃ今でもストーカーしてたと思うぞ》

《起こるべくして起こった人災という事か。アリスちゃんみたいに可愛すぎるのも問題なんだなぁ》

《可愛いは正義だから!そこに問題なんてない。蛾が勘違いして月に群がろうとするのが間違いなんだわ》


「決闘に至る経緯などは、万さんの会見をご覧ください。私たちのちゃんねるアーカイブにも残っていますので。ちゃんねる登録してなくても見れますのでご安心下さい」


《そういやちゃんねる登録者数凄い事になってるよな》

《今150万だろ?決闘の日までにどれだけ増えるんだろうな》

《会見で万魔央がチャンネル登録お願いしますって言ってたからな。それの効果か》

《それだけで100万人増えたのか。決闘配信ってアレナちゃんねる独占配信だろ?これチャンネル登録者限定にしたらどうなるんだ?決闘視るだけの一時登録だけでも一千万余裕でいくんじゃね?》


「決闘の配信に関してですが、自由に見れますのでご安心ください」


「ミラーも可」


「ただし、万さんたっての願いにより、TV関係はお断りさせていただきます。予めご了承ください」


「沢山の人に見てもらいたいけど、そこだけは譲れないって言ってた」


「決闘が終わった後なら問題ないと仰っておられたので、TVで見たい方は録画で視聴ください」


《どれだけTV嫌いなんだよw》

《言ってる事もやってる事も凄いけど、物凄い小物臭感じるんだよな》

《今回の件も大元にあるのは幼馴染虐められた報復だし》

《良かったなアリスちゃん元ガチ恋勢たち、お前らが暴走してたら降りかかっていた未来がこれだぞ》

《決闘の結果次第でまだどう転ぶか分からんがな。万魔央が勝ったら、ファンの中でありすちゃん達三人に良からぬことを企てる奴らは消えるだろ》

《そうだよ!アリスちゃん達の今後が懸かってるんだよな。ちょっと万生教で万魔央の勝利に五千円賭けてくる》

《俺も賭けてくるわ。正直北条有利だと思ってたけど、アリスちゃんたちの今後が懸かってるのに、あんな大言壮語吐くような奴には思えん》

《北条が勝ったら何でも言う事聞くっていってたからな。負けたらアリスちゃんを屑の嫁に寄越せとか言われる可能性もあるしな》

《家族と友人にも賭けるように言っておくわ。大盤振る舞いってのは間違いないかもな》

《TVじゃ北条有利って伝えてくれてるから、これは良いお小遣い稼ぎになるのでは?》


「最後に、今後の配信ですが、決闘までは申し訳ありませんが控えさせて頂くことになりました」


「ごめんね、れーくんが絶対ダメっていうから」


「その件に関しまして、万さんより皆さんに謝罪のお手紙を頂いております」


「直接配信で伝えればいいのにって言ったら、可愛い女の子三人だけの花園に、生ゴミぶちまける趣味はないから嫌だって。えへへへ」


《良く分かってるじゃないか》

《確かにこの配信に男が出てきたら相手が誰であろうと暴言吐きまくる自信がある》

《流石は匿名掲示板が具現化した存在とまで言われるだけの事はあるな》


「それでは手紙を読む」


【皆さん初めまして、万魔央です。いつもアレナちゃんねるを見て下さって有難うございます。決闘が終わるまでの配信中止の措置に関してですが、北条の雑魚どもが決闘で負けるのを恐れるあまり、あーちゃん達を拉致監禁する等危害を加える可能性が濃厚であり、あーちゃん達を守る為の措置である事をご理解ください。それではこれからもあーちゃん達を応援よろしくお願いします】


「以上」


《その手紙、本当に万魔央からなの?》

《会見の時も内容はともかく口調は丁寧だっただろ》

《縄張りを犯さない限りは温厚なんだよきっと》

《決闘の妨害か。その可能性もあるっちゃあるのか?》

《万魔央がめっちゃ煽ってるからな。一部が制御を離れて暴走する可能性はある》

《それよりあーちゃん呼びだと!?》

《会見で聞こえたのは空耳じゃなかったのか》

《れーくん、あーちゃん。これは幼馴染フラグ立っているのでは?》


「そういうわけで、次に会うのは決闘当日になります!」


「当日は朝8時から配信する」


「決闘の解説には、万魔様が天国の間からリモート出演して下さいます」


《まじで!?》

《絶対見る。仕事なんて行ってる場合じゃねえ》


「当日は、万生教各支所でも大型モニターで観戦できるそうです。イベントもあるそうですので、行けば良い事があるかもしれませんね」


「魔央くんが勝つまでの時間を当てるゲームをするって言ってた」


「見事的中すれば、天獄郷4泊5日の豪華旅行をプレゼントだよ!!」


《おおお!すげえ!!!》

《北条は悲壮感すら漂っているのに、万生教のこのお祭り騒ぎよ》

《勝つことを微塵も疑ってないな》

《この調子じゃ、当日は屋台も出るかもなw行くしかねぇ!!》

《そんな事よりナツキちゃん、魔央くんって言わなかった?》

《もう何呼びでもいいわ。れーくんでもよっちゃんでも好きにしてくれ。万魔央が勝てばだが》


「それでは、今回の配信はここまでとなります」


「次に会うのは決闘当日だね、みんなそれまで元気でね~!」


「お疲れさま」



―――――――――――――この配信は終了しました――――――――――――――

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