第42話 【緊急リモート会見!!万魔様とその後継者・万魔央による日本の未来に関する超重大発表!!】

『皆様。急な開催にも拘らず、この会見の為にお集り頂き誠に有難うございます。

この会見は各種メディア、及びアレナちゃんねるにて生配信されておりますので、興味のある方はそちらもご覧ください。今回の万魔の後継者・万魔央様による会見場所は、天獄殿・天国の間より生中継となっております。天国の間が公開される事、魔央様が公の場に出られるのはこれが初となります。会談が終わった後、質疑応答の時間を設けますが、質問は今回の対談内容のみとさせて頂きます。それでは現場の一条さん、お願いします』


―はーい!こちらは天獄の間です。今回の司会進行役を務めます、一条茜です。よろしくお願いしますね。それでは早速ですが、今回の主役のご紹介をしたいと思います!どうぞー!


「うむ、万魔じゃ。今日はよろしく頼むぞ」


「皆さん初めまして、万魔の後継者・万魔央です。こうして公の場に出るのは初めてで緊張しますね。よろしくお願いします」


―はい!それでは早速ですが、今回の会見を開かれた理由を教えて貰ってもいいでしょうか?この会見の告知がされたのはわずか2日前。それほどまでに喫緊な状況ということなのでしょうか


「そうですね。この会見は、僕が万魔にお願いをして開いて貰いました。私事で恐縮ですが…これからの日本の未来に大きな変化を齎すものですので、大々的に発表する事にしました。これから話す内容に関しては、何があっても変更されません。もう既に決まっている事だと認識してください」


―ほあ~。日本の未来を決めるような重大案件なんですね。どんな内容なのか楽しみです!


「まあ、悪い事ではありませんよ。むしろ凄く良い事なんじゃないかな?」


―そうなんですか!それは楽しみですね


「そう思っていただけると僕も嬉しいですね。それでは発表します。5月の第3日曜日、もう二週間切ってますが。朝10時から、関東探索者養成学校のダンジョンで、万魔央と北条家による決闘を行います」


―決闘ですか!?魔央様のおっしゃっている決闘って、結婚して血を繋ぐ血統じゃなくて、ビシバシ戦う決闘の事ですよね!?


「そうです。血生臭い方の決闘です。とはいえ今これを聞いている人は意味が分からないと思います。決まった時もその場にいた人は茫然としてましたからね」


―確かに。いきなり魔央様と北条が決闘するなどと言われても、頭に入ってきませんね。ちなみにそこに至るまでの経緯はお聞きしても大丈夫ですか?


「もちろんです。今回の会見を開いた理由は事情説明と逃げ道を潰す為ですので。そもそも今回の発端は―――――」

―なるほど。話を纏めますと、魔央様の幼馴染が北条の分家の子どもに悪質なストーカー紛いの被害に遭っていて、現場に居合わせた魔央様が助けに入ったと。


「そうです。いやぁ。あれは酷かったですね。あーちゃん泣いてましたから。それなのにあの男、おっと失礼、あの屑は関係なく言い寄ってましたから」


―それは確かに女の敵ですね。その場で殺されても文句は言えないと思います!


「で、その屑に下がるように言ったんですけど、こっちの話に聞く耳持たずで。埒が明かないので万魔の後継者として不問にしてやるから大人しく下がれって告げたんです」


―もしかして、下がらなかったんですか!?ありえません。ちょっとこの会見が終わったら、話し合いしてきていいですか?


「いやいや、それをするのは僕の役目なんでね。でまぁ、大道寺って北条でも古参の家じゃないですか。なんでこんな出来損ないの産廃を野に放ってるのか、頭に来ちゃいましてね。ついカッとなって北条が雑魚だの無能だのと言ってしまったわけです」


―なるほど。領域守護を担う家で生まれた子供のほとんどは、外部ではなく身内の教育機関で教育を受けます。大道寺ほどの名家であるなら尚更です。それが外部の教育機関に進学してその有様では…雑魚だ無能だと言われても仕方ないですね!


「そうでしょう?でまあ、そこに生徒会長さんが介入して来たんですよね。北条泰正?だったかな。北条当主の嫡男が」


―そうなんですか!?魔央様の幼馴染の女の子がストーカー被害に遭っていたのをスルーしていた、学校の生徒の代表である生徒会長が、北条を貶された瞬間有無を言わさず口を挟んで来たんですか!?


「そうなんですよ。ありえないでしょう?これじゃ何のための生徒会長か分かりませんよね?で、その時思ったんですよ。北条の嫡男がわざわざこの学校に進学したのは、北条が将来日本を牛耳る為の一手なんじゃないかって」


―と、いいますと?


「いやだって考えて下さいよ。北条の嫡男が外部の学校に入学なんてするわけないでしょう?領域守護職は閉鎖的な環境です。そんな所で育った奴らが、外の世界でまともに生活できるわけがない。現にほら、か弱い女の子に堂々とストーカーしてるじゃないですか」


―確かに。女の子にしつこく言い寄るなんて異常性欲者ですし、そんな奴を生徒会長の立場でありながら止めないのも異常です


「だから思ったんです。こいつらは北条の尖兵だと。禁忌領域を解放すらしてないのに、こいつらは自分たちが酒池肉林を楽しむ為に、外の世界に手を伸ばしてきたんだとね」


―禁忌領域守護には様々な特権がありますよね。税の免除、魔石の優先的供給等々、脅威であるからこそ、普通ではありえないような優遇措置が取られているわけです。


「そうなんです。だが北条は、禁忌領域の解放をする必要などないと判断し、それどころか更に自分たちが肥え太る為に外の世界、手近な探索者協会に目を付けたのでしょう」


―禁忌領域と探索者協会は結びつきが深いですからね。最初に手を付けるなら狙い目でしょうね


「でまあ、更に北条を貶してカマを掛けてみたんです。本当に北条を誇り、解放する気があるのなら、そんな侮辱に耐えられるはずがないでしょう?手を出してくれば北条は善、僕は全て不問にして謝罪する。だが引き下がれば悪、万魔と敵対したら不味い事を画策しているから黙らざるをえない、ってね」


―なるほど!そして北条は引き下がったわけですか


「そうです。僕の事をずっと睨みつけてましたからね。余程自分たちの計画を邪魔された事が許せなかったんでしょうね」


―しかしそうなると疑問に思ってしまうのですが。その場にいた教員、真田真子さんですが、なぜ彼女は止めようとしなかったのでしょうか?


「それは僕も疑問に思って調べて貰ったんですが、彼女、北条の真田家と関わりがあるみたいなんですよね」


―それは…つまり、北条家に忖度していた、と?


「残念ながらそうですね。実直な先生として他の先生や生徒たちからも信頼されていたみたいですが。蓋を開ければ北条の犬だったわけです」


―北条の根は、思った以上に深い所まで張り巡らされているようですね。教育機関は一度教育者の身元を洗った方がいいかもしれません


「とりあえずその場は北条側が後ろ暗い事を隠すために引き下がって終わったのですが」


―え、それで終わりじゃないんですか?てっきり魔央様とその二人が決闘をすると思ってたんですが


「あははは!茜ちゃんって冗談上手いね!あんなの千人集まっても僕の相手になるわけないじゃない」


―あ、あかねちゃん…でへへへぇ…ハッ!失礼しました。それで、決闘でないならばまた何かあったという事でしょうか?


「どうやら、北条の当主から、万魔に直接手紙が来たみたいでね」


「うむ。北条の当主から、今回の息子がしでかした失態と、魔央に直接会って詫びたいから取り次いでくれとの手紙が来たの」


―北条の当主から直々に、ですか。こういっては何ですが、大袈裟すぎではないでしょうか?


「そうなんですよね。僕も万魔から聞いた時ビックリしました。自分たちの計画の一部が息子によってバレたとしても、ここまで迅速に動く必要があるのか?まして当主直々に出向いて僕に直接詫びを入れたい?それを聞いた僕は危機感を抱きましたね」


―危機感、ですか?当主直々に出向いて謝罪することをですか?


「ええ、当主がわざわざ出向いて謝罪をさせるなんて、畏れ多いですよね?こちらから伺いますと返答するところです。実際僕もそうしようとしましたが、止めました。おそらくこれは僕を呼び出して殺す為の罠なんだろうと思いましてね」


―魔央様を呼び出して殺すですか!?今すぐ天獄郷の黒巫女に緊急招集を掛けなさい!!


「茜ちゃん落ち着いて、僕は無事だからさ。僕を殺す理由、それは当然万魔の威光を地に貶め、影響力を削ぐ為でしょう。そんな大それた事を北条だけで行おうとするでしょうか?ありえません。全てかは分かりませんが、各地域の領域守護も複数、この計画に携わっていると僕は判断しました」


―魔央様の暗殺に他の領域守護も噛んでいて、北条と手を組んでいる…つまり、北条のような領域守護の地位を利用して私腹を肥やしている裏切者達がいると?


「はい、考えて見ればおかしな話ですよね?万魔の禁忌領域解放以降300年余り、一つとして解放されていない。当時と比べて探索者の数は比べ物になりません。技術の進歩も目覚ましい。なのに解放された所が一つもない。ありえないでしょう?」


―言われてみれば確かにおかしいですね。300年もの間、禁忌領域を封鎖し続けているにも関わらず、どこも解放されていないというのは、どう考えてもおかしいです


「でしょう?つまり、他の禁忌領域守護の連中も、北条同様に私腹を肥やすだけの屑の集まりなのでは?と思ったんです」


―各地のダンジョンからの魔石を着服し、禁忌領域産の素材は自分たちと関わりのある所を通してしか融通しない。一夫多妻を笠に着て、気にいった女の子を無理やり手籠めにする。そういった事を好き放題しているわけですね!!


「そうですそうです。だから北条の当主に意趣返しとして、こう返答したんです。本当に謝罪する気があるなら、全員で禁忌領域を解放する為に戦え。謝罪する気がないなら金輪際関わるな、とね。これを万魔を通して北条の当主に直接伝えて貰いました」


「うむ、万魔の名に懸けて誓おう。その日の内に間違いなく北条当主に伝えたぞ」


―万魔様の名において誓われたのでしたら、それは何よりも確かで信頼出来ますね!!


「向こうは元々謝罪する気がないからね。こう言っておけば、北条が禁忌領域を解放する気がない事をこちらは分かっているって伝わるでしょ?ついでに周りをウロチョロされるのも目障りだから、金輪際関わらないようにってね」


―確かに、此処まで言われたら魔央様たちに関わろうとはしないでしょう


「ま、直接言わなかったのは慈悲だね。私腹を肥やして乱痴気騒ぎをする為とはいえこれまで禁忌領域から人々を守って来たのは事実。その功績に免じて、今回の件を機に心を入れ替えるなら見逃してやろうと思ってさ。仮に禁忌領域に一族全員で特攻したなら、どういった結果であれ僕がどうにかしてあげるとも伝えたんだけど」


―なんとお心の広い!一条茜、感服いたしました!!


「ま、無駄だったけどね。連休明けにさ。あーちゃんに早速絡んで来たんだよね。ストーカーが」


―大道寺の息子ですよね?金輪際関わるなと当主直々に忠告されているはずでは?


「そうそう。だからビックリしたよ。謝罪をしたいとか言ってたらしいけどさ、その時も話をろくに聞かずに、近づいてきたらしいから」


―それはちょっと…北条はどうなっているんですか?閉鎖的な環境で、自分たちが誰よりも偉いと勘違いしているのでは?


「そうだろうね。禁忌領域を解放出来ないくせに、それを誇りと思っている連中だ。頭のネジが外れてるんだよ。でまあ、北条の関係者、しかも事の発端を引き起こした大罪人が、よりにもよってあーちゃんに直接接触して来たんだ。僕も動くしかないじゃない、約束を守ってもらう為に、ね」


―それは弁解の余地がありませんね。ただ大道寺の息子が聞いていなかった可能性はないでしょうか?


「それって関係あるのかな?万魔が、北条の当主に、直接ビシッと言った事をさ。伝え忘れるなんてことある?聞きそびれる事なんてあるかな?」


―ありえません。万魔様のお言葉を聞き逃すどころか、それに反する事など


「でしょ?仮にその屑が勘当されていて、北条とは関係ありませんと言われた所で意味はない。その屑が北条に籍を置いていた時に起こったことが発端なのだからね。まぁ個人でしたのなら妥協も必要だと思うけど、そいつは事ある毎に栄えある北条だのなんだの言ってたからね。北条はこんな奴を育てた責任取らなきゃ」


―つまり北条は今までの過ちを悔い改め、魔央様に謝罪する為、禁忌領域を解放する為に総軍を上げる事を決意し、大道寺の息子を謝罪に向かわせたということですね。素晴らしい!それでこそ日本を守り続けてきた禁忌領域関東守護です!!


「だよね。僕も北条の事を侮ってたから。禁忌領域を解放した暁には国営放送で土下座謝罪でもしなきゃ彼らに報いる事はできないなって反省したんだ」

「その時はわしも一緒にしてやろう。弟子の不始末は師匠の不始末じゃ」


―万魔様が土下座など…いえ、私如きが口を挟むような真似をした事、お許しください。


「でまあ、北条の当主に電話で確認したんだよ。何時禁忌領域を解放してくれるんですかって」


―それで、いつ北条は真皇兵原羅将門を解放する為に動くのですか!?ついに日本からまた一つ、禁忌領域が解放されるのですよね?


「それがさぁ…出来ないって言うんだよね」


―……は?何をですか?


「禁忌領域の解放。死ぬのが怖いからしたくないんだってさ」


―……なんですかそれは。万魔様の、魔央様との約束を破っておきながら、しかも死ぬのが怖いから嫌だ?ふざけてるんですか?今すぐ万生教徒総出で北条を滅ぼしに行きましょう!!皆、すぐに準備を!!


「まあまあ、私腹を肥やした豚なんてそんなもんだよ。300年間、武力ではなく自らの我欲と自己保身を鍛え続けた連中だ。期待するだけ無駄だったんだよ」


―許せませんね。そのような輩共がなぜのうのうと生きているのか


「それは僕らにも責任があるよ。領域守護を担っているからと言って、思考停止でありがたがってたからね。調子に乗っちゃったんでしょ。自分たちは誰よりも偉い。日本の支配者は北条だってね。その結果は御覧の通り、日本を食いつぶす逆賊が生まれたってわけ」


―つまり、今回の決闘は魔央様が逆賊である北条を討滅するための決闘であると!!


「北条の当主の言い分としてはさ、真皇兵原羅将門内で死ぬことは、そのまま禁忌領域の強化につながる為、無謀な特攻はしたくないって言うんだよね。決して死を恐れているわけではないって」


―確かに、自分たちの死によって禁忌領域の脅威が増したら本末転倒ですね


「でもさ、それって自分たちが満足に戦えない雑魚だって自覚してるから出てくる言い訳だよね?なんとか禁忌領域を押留める事が出来るだけの戦力を用意して、後は全て自分たちの享楽に回す。つまり北条に限らず、今の禁忌領域守護者達は全員、解放する気がこれっぽっちも、さっぱり全くないんだよ。自分たちが良ければそれでいい、国民すべて俺たちの為に馬車馬の如く働いて貢げって言ってるのさ」


―なんという…なんという大罪人どもでしょう!大逆賊!!人類の裏切者と言っても過言ではありません!!


「そうそう。でもね、私腹を肥やすしか能のない下種でもさ、これまで禁忌領域から守ってくれてたのも事実なんだよ。これから襟を正してみんなの為に粉骨砕身努力してくれるなら、グッと堪えて今までの罪を許してやってもいいと思うんだ」


―確かに、彼らが守護をしてくれたお陰で、私たちが安全に暮らせていたのもまた事実です


「でもさ、これからはそんなゴミ屑どもはいらない。みんなも許す気ないでしょ?でもケジメは必要だよね。今まで好き勝手してきた事のさ。だから決闘する事にしたんだ。禁忌領域外で死ぬ事は怖くないらしいからさ」


―なるほど。この決闘は北条の国民に対する禊でもあると言うわけですね


「禁忌領域守護であることを誇りだ何だと言い張っているんだから、それに見合う実力は示されるべき。禁忌領域は本当に脅威である事を証明すべき。自分たちが領域守護の立場に相応しい事をみんなに納得させるべき。これから禁忌領域を解放する為に決死の覚悟を持っていると示すべき」


「だからこその決闘だ。この万魔の後継者・万魔央に北条の力を示せ。といっても事の発端である屑、元凶である糞教師、話をでかくしたインテリ眼鏡、総責任者の北条当主。この4人と俺の決闘ではあまりに不公平すぎる。あまりに不利すぎる。


 俺が?違う、北条がだ。こんな木っ端なゴミ屑共を蹴散らした処で意味がない。北条の在り方を示す事にもならない。北条総出でも構わないんだが、俺は手加減が苦手でな。雑魚を相手にするのは疲れるんだ。それに大抵の場合腐ってるのは上層部だから、末端を虐める必要もない。だから北条側は加えて8人。2PT分を追加した計12人で俺と決闘して貰う。


 その8人は誰でもいい。S級探索者でもいい、最強仮面でもいい、説得できるなら万魔でもいいぞ。俺のお勧めは他禁忌領域守護の当主どもだ。どうせ前線に出る事もなく、酒を飲んで女を抱いて、好き勝手遊び惚けているだけの屑なんだから、死んでも問題ないだろう?むしろ老害は率先して死ね、税金の無駄遣いしてんじゃねえよ」


「わしは頼まれてもごめんじゃからな。後継者が師匠より弱いとは限らんし。こやつの底は見た事ないしの」


「決闘は5月第3週の日曜日朝10時から。場所は関東探学内にあるダンジョン。生死不問だから遺書と死亡同意書を書いておけよ。ルールは何でもありだ。決着条件はどちらかの全滅。途中棄権は認めない」


「後はそうだな…この決闘で賭けをするのは自由だが。北条が勝つ方に賭けるのはお勧めしない。金をドブに捨てる趣味があれば別だがな」


―万生教各支所で明日から賭ける事が出来ますので振るってご参加下さい!御一人様5千円までです。こんな簡単にお小遣いを稼げるなんて無敗の八冠馬、アビスエンペラー以来かもしれませんね。配当金はマイナスにはならないのでご安心を!万生教の内部保留金がなくなっちゃうかもしれませんが、魔央様伝説の幕開けですから大盤振る舞いです!!


「ま、俺が決闘に勝っても得る物が全くないんだがな。しかし決闘である以上、負けたからには代償を払う必要がある。俺が勝った場合、北条領に住む者は全員、決闘終了後から300年間、無償で関東禁忌領域を、解放されるその時まで守護し続けろ。先祖を誉と思うなら、先祖の罪もあがなえ。子どもも孫もその子孫も、300年間ひたすら北条に生まれた事を感謝して馬車馬の如く働け。聞いているか北条?必死になれよ。それこそ真皇に挑むつもりでな。妻を、娘を、孫を、奴隷のように扱われたくなければ、決死の覚悟で抗うと良い」


―万魔様が恐山天獄門を解放されてから約300年。そこからの怠慢のツケを支払うという事ですね。しかしこれに釣り合う褒賞ですか…ちょっと考え付きませんね


「北条が勝った場合は…とりあえず俺と万魔が国営放送で土下座謝罪でもしようか。全国謝罪行脚もしてやる」


「ふむ。べつに構わんぞ」


「他にも要望があったら何でも聞いてやるぞ。今すぐ死ねでも、天獄郷の全てを寄越せでも、万魔を奴隷にしろでもな。好きなだけ望むと良い。欲の皮が突っ張っている北条にはお似合いだろう」


「奴隷はいやじゃのぉ」


「心配しなくても、北条が勝ったらの話だから。ありえない事はありえないなんていうけどさ。北条が勝つなんて0%だから。0には何を掛けても0。だから北条の報酬なんて何でもいいんだよ。あ、でも最強仮面がいたらどうなるか分からないかな。頑張って探して助力を頼むといい」


「分かっていると思いたいが、頭の足りない北条の為に言っておく。この決闘は貴様らが今まで禁忌領域守護職を務めてきたことに対する慈悲だ。だから名誉を挽回するチャンスをくれてやった。精々汚名を挽回する事のないよう励むと良い」


―はわわわわわ!恰好良すぎて直視できないよぉ……


「追加があれば、おってアレナちゃんねるで報告するのでチャンネル登録お願いします。あ、決闘はアレナちゃんねる独占生配信ですので。TVでは放映しません。だから興味のある人はアレナちゃんねるで見てね!」


『それでは、以上で万魔央様の演説を終了いたします。続いて質疑応答に入ります。質問のある方は挙手をして――――』

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