詠われる日常記

雅郎=oLFlex=鳴隠

2023/07/23

 夏の烈日が鮮明に照らす、つややかな葉の緑が、夏という憂鬱な季節にもまた見るべきものはあったのだな、という気持ちを起こさせる。


 夏の空は広く澄み渡り、鮮やかな色に紐付けられる思いがあった。夏季は平時よりも太陽が近く、故に昼の力が高まっているのかもしれない。そのように感じるのならば、きっとそれはそうなのだろう。


 その光の強さによるものか、気温の高さによるものか、細かいことは知りようもないが、夏の昼間には活力が感じられる。その熱が人からは活力を奪うのだとしても、そこにある活力の総和は、不明な認識によって高められていた。

 生物の気配を感じたわけでもない。目に見えて知れたものは、ただそこに生える植物のみであった。それでも、草は青々と茂っている。生命の原点が植物であるのなら、それを食らって生きる端々の我々などは、元より物の数にも加えられてはいなかったのかもしれない。


 くして、外の景色をただ眺めるのも悪くはないが。冷房クーラーの効いた屋内が恋しい私は、近所の自販機からの帰り道を急ぐのである。

 別に、全部の葉が光沢のある緑だというわけでもないのに、どうして記憶に残る葉の色はそういう深緑の艶だけなのだろう、と疑問に思いながら。

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